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活躍する消費生活アドバイザー

ところで、そもそもこの研究会を立ち上げようと思ったのはどうしてですか。

青木 NACS東日本支部のイベントで、「エネルギーに関する研究会活動を一緒にやりませんか」という呼びかけのチラシを配ったのが始まりです。

 家庭で取り組める省エネルギーの方法といった身近なことから、審議会で議論されるエネルギー政策についてウオッチするなど、「エネルギーに対して小さな目(家庭単位)と大きな目(国全体の政策)と複眼をもった賢い消費者になろう!」と言って呼びかけました。

 これに応じてくださったメンバーで2009年4月に設立し、現在、メンバーは14人です。

根岸 私は、2007〜2008年にNACSが資源エネルギー庁の委託による家庭の省エネ講座を実施したときに講師を担当し、20数か所の会場で、延べ800人近くにお話をしました。こうした講座に来られるのは、関心の高い方たちです。

 そこで、「あなたの言ったことの8、9割はすでに行っています。これ以上、何をやったらよいか提案してほしいのです」と言われたのですね。

 このとき、結局、個々人のライフスタイルを変えないと、省エネは進まないと思いました。
 この研究会は、ライフスタイルとエネルギーを一緒に考えようという呼びかけだったので、非常に意味のある、具体的な行動に結びつく研究会だと思いました。
 また、「幅広い分野の仲間と一緒に活動できればいいな」と参加しました。

青木 発足当初からエネルギーの現場を見て歩こう、ということで、2009年夏の群馬の水力発電所を皮切りに、これまで活動の合間に福島県いわき市勿来(なこそ)にある商用運転前のIGCC(石炭ガス化発電)実証機、青森県六ヶ所村の原子燃料サイクル工場、神奈川県川崎市のメガソーラーの見学を実施してきました。

 その他の活動として、2010年1月に(財)電力中央研究所とNACSと共催で、「私たちのくらしとエネルギーを考えよう!」というシンポジウムを開催しました。
 研究会として初めてのイベントで、この当時は主に地球温暖化対策の側面からエネルギーについて考えようとしていました。

 基調講演をIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)報告書の執筆者の一人である杉山大志氏(電力中央研究所 社会経済研究所 上席研究員 / 当時)にお願いし、パネルディスカッションには資源エネルギー庁新エネルギー対策課長もお呼びして、太陽光発電の可能性についてお話いただきました。

 さらに、同年11月に「太陽光発電の光と影」と題して、太陽光パネルの不具合事例の研究状況について勉強会を行いました。

 翌2011年10月には、パネル製造者(メーカー団体)、販売・施工(コンサルティング会社)、太陽光システムの設置者(オーナー同士のネットワーク団体)、そして前年一緒に勉強会を行った不具合事例の研究者が一堂に会してディスカッションするシンポジウムを開催しました。

その後、活動がぐっと太陽光発電に絞り込まれたのですね。

根岸 はい。大きな理由は、消費者問題が増加してきたことです。
 「今年設置しないともうからない」「設置にはこれだけの資金があればよい」とか、売らんかなのミスリードが多かった。

 それを止めることが我々にとっては大事なのではないかという意識が非常に強くなってきました。
 これまでも太陽光発電について活動して来ましたが、活動がスピードアップしたのはこの頃からでしたね。

青木 太陽光発電は、家庭で自分たちがかかわりながらエネルギーを作ることに参加できるシステムで、業者の方々からさまざまな勧誘を受けます。

 「取り付けて本当にメリットがあるのか?」「メンテナンスフリーは本当なの?」と、どちらかというと斜めの目線から太陽光発電を調べる必要があると考えました。

 国の政策も2009年から太陽光発電の余剰電力買取制度が始まり、2012年7月の再生可能エネルギー固定価格買取制度施行以降も、10キロワット未満の家庭用は引き続き余剰買取となって、政策的な後押しは続いています。

 そうした追い風の制度をきっかけに、太陽光発電に興味をもち、設置しようと思った方が増えていったわけですが、そのわりにどういう知識をもって実際に販売業者に対応すればよいのか、導入するまでに必要な知識や準備していくステップが明確でなかったことが、今回の冊子作成につながっています。

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