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活躍する消費生活アドバイザー

大和 一恵さん

消費者を起点としてニーズを先読み、お客様に使いこなしていただける新たな商品を世に送り出す

大和 一恵さん(消費生活アドバイザー34期)
パナソニック株式会社 アプライアンス社 冷蔵庫事業部 技術企画課 技術企画第一係 主務

パナソニック株式会社に冷蔵庫の技術者として入社、CAE(Computer Aided Engineering)による断熱・強度・風路解析などを担当。2004年より商品企画部にて、主に国内向け400L以上の冷蔵庫の商品企画を担当。2015年より現職。
プライベートでは、PTAはじめ地域活動にも積極的に参加し、現在はまちづくり協議会にて新たなまちづくりを行政とともに推進中。「よさこい踊り」や声劇・読み聞かせ、自然に親しみながらの旅行など、休日もフル稼働。

現在のお仕事の内容を簡単にご説明願います。

大和 国内向け家庭用冷凍冷蔵庫の多ドアから小型のミニ2ドア、冷凍庫、日本から海外へ輸出している製品など、それぞれのタイプに合わせた取扱説明書を作成しています。

 新しくご購入いただいた冷蔵庫を、この先、長きにわたって上手に使いこなしていただくためのアシストとなるような取扱説明書を目指し、これまでの形態にこだわらず、時代に合ったパナソニックならではの新たな視点で挑戦しています。

昨年の「消費生活アドバイザー資格制度創設35周年記念 功労者表彰」は、前職を通じての活動によるものなのですね。

大和 以前は、商品企画部で国内向けの冷蔵庫の企画に携わっていました。
 商品企画は、市場の変化やお客様の意向を分析し、どんな商品が喜んでいただけるかを常に先読みしながら新しい商品を企画立案し、開発部門や営業部門といっしょに具体的な商品仕様に落とし込む仕事です。
 時代の流れを感じ取り、新しい機能を採用するタイミングを見極めることが重要です。早すぎてもだめ、遅すぎてもだめなのです。また、お客様にご購入いただく商品の値ごろ感も大事です。一概に、なんでもかんでも搭載すればよいというわけでもありません。時代に応じた生活環境に合うよう、必要な機能を見極めて商品化につなげています。
 消費生活アドバイザーの幅広い考え方は、新しい商品の検討に大変役立ちました。消費者の意向の一歩先の未来を先取りした価値提供、企業視点での経営戦略、そして行政発信の環境・表示などのコンプライアンス遵守を念頭に、商品の仕様に落とし込んできました。

 企画した商品は、実際に試作をつくり、基本の性能評価、女性社員による使い方評価、社内モニター宅での実生活での評価などを行います。高品質・高品位の商品に仕上げるために、工場との連携も重要です。このような厳しいチェックを経て商品が世の中に出ていきます。

企画立案から商品として世に出ていくまで、スパンが長いんですね。

大和 そうですね。新しく開発する商品は、どのターゲットのお客様を想定するのかを見極めるところから始まります。そのターゲットが、求めていることは何なのか。顕在的ニーズはもとより、ご自身も気づいていない潜在的ニーズを発掘し、時代に応じた新たな生活価値を提案できるよう具体的な仕様を決めていきます。

 パナソニックでは家電を商品群としてとらえています。そのため新たな商品の群訴求では、冷蔵庫だけではなく、エアコンや掃除機など、他の商品とともに大きな視点で考え、数年かけて商品化します。
 もちろん、社会情勢の目まぐるしい変化に応じるために、当初の予測が変わってしまうこともあります。

 冷蔵庫は基本的に、新商品の投入は1年サイクルで行っています。当社冷蔵庫の独自機能である100%全開できるワンダフルオープンや最上段まで手がとどくトップユニット、生活パターンを学習して自動的に節電するエコナビなど、UD(ユニバーサルデザイン)やECOの特徴を基軸に、さらに時代に応じた新しい機能を投入しています。

商品企画に異動した2004年当時、取り組まれた機能といいますと?

大和 コンプレッサー(圧縮機)が最上段奥に上がったトップユニットとワンダフルオープンが代表です。

 それまで最下段にあったコンプレッサーを最上段に移動したことにより、手の届かない最上段奥を使わず、デッドスペースとなっていた最下段奥を使えるようにしました。100%全開できる引き出しがあるからこそ一番使いやすいスペースを使いこなしていただけるユニバーサルデザインの冷蔵庫が実現できています。

 これができるのは、現在でも、パナソニックだけです。これは、トップユニットが特許でおさえられる程、難しい技術だからです。また、工場改革も必要です。冷蔵庫のような大きな商品の場合、下部についているコンプレッサーを上部に持っていくには、工場のモノづくりも大きく変えなければなりません。それだけに、簡単に追随することが出来ない技術なのです。

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