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活躍する消費生活アドバイザー

中村 美紀さん

公的扶助につながらない場合こそ、解決に向けた情報提供が役立つと考えています

中村 美紀さん(消費生活アドバイザー31期)
日本司法支援センター山口地方事務所(法テラス山口)

2008年4月から7年間、周南市消費生活センターに勤務。2009年1月、消費生活専門相談員資格を取得。2011年4月、消費生活アドバイザー資格取得。2015年4月より、法テラス山口で情報提供窓口業務に携わっている。

法テラス山口に勤務されているとのことですが、お仕事を簡単にご説明ください。

中村 法テラス(日本司法支援センター)は、「全国どこでも法的トラブルを解決するための情報やサービスを受けられる社会の実現」という理念の下に、国民向けの法的支援を行う中心的な機関として2006年に設立され、山口県の地方事務所が法テラス山口です。

 法テラスを利用される方には、さまざまなトラブルを抱えていながら、どのような解決方法があるのかわからない、どこに、誰に相談していいのかわからない、という方がいらっしゃいます。また、身近にそうした方がいたり、将来、トラブルになるのを避けるために、あらかじめ法制度に関する情報等を得ておきたい方もいらっしゃいます。そうした方々に、解決のための道案内として、解決に役立つ情報を無料で提供する情報提供窓口があります。

 私は、その担当として2015年4月から法テラス山口に勤務しています。設立時から窓口対応専門職員として法テラス山口に勤務されていた、NACS(公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会)の先輩会員の方からのお話を聞いて興味をもち、その後、働くようになりました。
 直接、山口地方事務所に来られる方のほか、電話でお問合せされる方にも対応しています。

どのような内容の相談が多いですか。

中村 問合せでは、男女・夫婦間でのトラブルに関係する離婚などについてのものが多いです。ついで、金銭の借入れ、相続、遺言などの相談があります。家族に関する相談(離婚、相続等)33.6%、生活上の取引に関する相談(金銭の借り入れ等)32%となっています(2018年度法テラス山口)。
 抱えているトラブルをどうにか整理したいと思っていろいろなところに相談してみたものの、「納得いく方法が見つからない。最後に行った相談窓口から法テラスを紹介された」と窓口に来られる方もおられます。また、ご本人でなく、親、兄弟など親族の方から、「債務を抱えた本人は何もしない。心配なので代わりに相談したい」という電話もあります。

対応で心がけていらっしゃることは?

中村 まず、利用者の方から相談したいと思っている内容をお聴きします。
 最初から要点を伝えていただけることは少ないので、お話を整理しながら、お悩みの内容が法テラスで解決のお手伝いができる法的トラブルかどうかを聴き取ります。法テラスでは、民事、家事または行政に関する問題については法律相談ができますが、刑事事件については法律相談の対象ではありません。
 その結果、法テラスでは解決できないお悩みだった場合でも、お悩みの解決に役立つような適切な相談窓口がほかにあれば、その情報をご案内するようにしています。

 経済的に余裕のない方の法的トラブルは、無料の弁護士相談につなげることができるのですが、資力のある方などは、こうした扶助につなげられない場合があります。そういった方々にこそ、相談内容の整理と解決に向けた情報提供が役立つと考えています。

 同じ相談内容でも、相談者が違えば、言葉の使い方が少し違うだけで相手への伝わり方が変わると感じています。
 事務所窓口でお話しするときは、表情から理解していただけたのかを判断することができますが、電話では、対応中に突然、声のトーンや話し方が変わる相談者もおられます。
 ご事情をおうかがいしなければ、お話の整理をお手伝いできませんが、情報提供窓口では、弁護士が行うような法的判断は行っていません。聴き取った内容を整理し、相談者へ伝え返すことで、不安でお悩みの気持ちを少しでも落ち着かせられたら、次に案内する情報への理解もしやすくなると思っています。

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