TOP > 消費生活アドバイザー > 資格活用事例 > WEBマガジン「あどばいざあ」 > 特集記事 > 特集 生活者からの疑問を地道に調査研究して20年 NACS西日本支部「商品の使いやすさとマニュアル研究会」の活動2

特集記事

調査研究の進め方

 こうした調査研究は、どのように進められているのだろうか。
 基本的に、メンバー6名が顔をそろえる定例会は、月に1回、全員が参加できる土曜の夜に開催されている。
 この場を中心に、次のようなステップを踏み、冊子にまとめられていく。

①年度初めにテーマ検討
…各自が興味のあるテーマを持ち込み、メンバーで検討

②テーマについて各自で勉強
…資料収集、販売店などを訪問し、問題点を整理
 当初は新聞や雑誌が情報収集の中心だったが、近年は各工業会や企業のホームページを見たりすることが多い。電気店や販売店の店頭で、実際に商品を見せてもらうこともある。
 公にされている資料で、「わかる範囲」「わからない範囲」をはっきりさせる。

③仮説を立てて、検証のためにアンケートなどで消費者意識調査を実施
 アンケートは、NACS会員の知人100人以上にうかがうことが多い。しかし、すべての年代で同人数の群をそろえるのがなかなか難しく、アンケート集計が始められないことも。
 テーマによっては、グループインタビューをすることもある。

④調査結果の分析と統計的な検討から仮説を検証

⑤もう一度調査が必要であれば、情報収集。メーカーや工業会などに質問
 NACSの名前で質問状を出しているためか、工業会からの回答率は高い。
 しかし企業への質問状では、消費生活アドバイザー資格を知らない企業もあり、そうしたところからは誠意のない回答が寄せられることもある。
 自分たちが、一消費者としてわからないことについては、個人の名前でたずねることもある。

⑥冊子原稿を作成、推敲、印刷および発行

⑦冊子内容を外部に発信
 メンバーが、消費者問題神戸会議、大阪府消費者研究発表大会、一般財団法人テクニカル・コミュニケーター協会主催のシンポジウムなどにパネリストとして出席。
 昨年は、日本油化学会で発表する機会を得た。

消費者環境の変化につれ、調査研究のテーマが広がる

 マニュアル研の始まりは、
「せっかく資格をとったので、何かいっしょに勉強して発信しようということで声をかけ合い、自主研究会として登録しました。当時、マニュアル関係のシンポジウムで偶然に消費生活アドバイザーの同期の方とお会いしたのがきっかけです」
と代表の黒田園子さん。

 20年の間に、消費者を取り巻く環境は大きく変化し、マニュアル研のテーマも変わってきた。
 発足当初は商品だけだったが、サービスや商品と生活者のかかわり方へと、テーマはどんどん広がってきている。

 毎年のように家電をテーマに取り上げていた時期には、家電製品協会や家電関係企業に研究会のことを覚えてもらい、「今年は何をテーマに研究をしているのですか」と、調査研究結果が出れば意見交換のために会社訪問させてもらえるようになった企業もあった。

 「食器洗い乾燥機」の調査研究では、「実際に汚れた食器を洗ってみないことには使いやすさはわからない」と、納豆がこびりついたり、口紅がついた食器などを持って、メーカーに「洗わせてください」と訪問した。

 「今にして思えば、ずいぶん失礼だったと思いますが、メーカーの担当者の方には親切にしていただきました」。(黒田さん)

 「高齢者にとっての家電製品の使いやすさ」をテーマとした時には、実際に使ってもらわないとわからないということで、高齢者のご家庭にそれぞれメンバーが訪問して使っていただいた内容をレポート。「これは、今、振り返っても、よい取組みだったと思います」。(黒田さん)

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