特集記事
企業と消費者の意識のギャップを埋めるために
調査の過程では、ときに「アッと思うこと」が出てくるそうだ。「その業界では当たり前のことなのですが、生活者にはよくわからない事情などがわかってきたりします」。(下田桂子さん)
黒田さんは、
「消費生活アドバイザーが中心になっていることもあり、『企業と消費者の意識のギャップを埋めていきたい』ということが、原点です。
メンバー各自が、一人の消費者として疑問に感じていることを自分たちで調査研究し、ほかの方にもお役に立てるよう発信したい。
そのため、非常に地道な調査・研究を進めて自分たちの疑問を追究し、仮説を検証。それに基づき、企業と消費者のギャップを埋めるためにどうアクションすべきなのか、提言していきます」
と説明する。
課題と感じていることもある。
「第一は、活動資金がないことですね。いろいろ調査したり、テストして、はっきりとした結果を出したいと思いましても、予算不足で動けないところが出てきます。ほとんどは、それを凌駕するほどのメンバーの努力と興味、そして結束力で乗り越えているんですけれども。
それから、フルタイムで仕事をしているメンバーも多く、なかなか全員の力を結集する場がもてない。そんななか、皆さん、とてもがんばっていると思います」。(猪股満智子さん)
しかし、マニュアル研の調査研究の歩みは力強い。
その原動力の一つは、調査研究した結果が商品やサービスに取り入れられていくのを目の当たりにしていることである。
「常々疑問に思っていることは、ただ思っているだけではつまらないでしょう。研究し発表することで、商品やサービスを少しでも変えることができます。
手前味噌ですが、パソコンやコンビニエンスストアについて、冊子で私たちが提案したことが取り入れられ、改善されています」。(糸島節子さん)
「消費者としての素朴な疑問のようなものをユーザーエゴではなく、メンバーの見識で叩いていきます。『どうして、こんな形になってしまうのか』『なんでこういう使い方なのか』『この取扱説明書は、どうしてわかりにくいのか』などと。調べているうちに、その要因が明らかになってくるんです。
こうしたことを積み重ねていく面白さをすごく感じています。これがきっかけになって、世の中が少しでもよくなったら、という気持ちでずっと続けてきました。ゴマメの歯ぎしりかもしれませんが」。(下田さん)
そして、仲間の存在。
「研究仲間がいることで、視野が広がり、新しい視点も得て、日々の活動にも活かせられる。また、皆さんのパワーもいただけます」。(福島寿美さん)
「時間がないなか、みんなで力を合わせ、まとめていく一つひとつの工程が勉強になります」。(内田紀子さん)
メンバーには、メーカー勤務の人もいれば、行政職の人もいる。メーカー勤務でも、造っているものが違ったり、立場がそれぞれ違う。そうしたことが、偏らない視点にひと役買っている。
その視点をさらに多様にするためにも、もっとメンバーを増やしたいとのこと。
奮って、下記アドレスにご連絡を。
west-manual@nacs.or.jp