TOP > 消費生活アドバイザー > 資格活用事例 > WEBマガジン「あどばいざあ」 > 特集記事 > パネルディスカッション抄録 消費者志向経営実現に向けた消費生活アドバイザー資格者の役割2

特集記事

川口徳子さん

川口 一般社団法人日本ヒーブ協議会の代表理事をしています川口と申します。日本ヒーブ協議会は、生活者と企業のパイプ役としてより良い仕事をするため、その能力向上を目的に1978年に設立された団体です。企業の消費者関連部門で働く女性が、企業人という立場と一消費者という立場を両立させ、2つの視点をもって、企業活動と生活を考えるというのが特徴です。

私たちは「生活者と企業の双方を理解し、新しい価値を創造・提供することで生活者の利益および企業の健全な発展に寄与する」ことを使命として活動しています。消費者視点を活かし、企業における消費者志向経営を具体化し、積極的に推進することは、その一つと認識しています。

私は、日本ハム株式会社の惣菜を製造していますデリ商品事業部で、商品開発を行うブランドマネージャーを16年経験した後、11年前から顧客満足を高めるCS(customer satisfaction:顧客満足)業務を担当しています。
 企業内でCSやブランドを推進している立場から消費者志向経営とは、企業が安全・安心、法令遵守はもちろんのこと、経営トップから従業員一人ひとりまでが、常にお客様の立場に立って自社の有効資源を活用して行動し、ブランド価値を高めることと考えています。
 ブランドは「確かな価値の提供」と「決して期待を裏切らない」という企業の強い意思表示であり、お客様に対する約束です。その約束を守り続けることで、初めてブランドはお客様や社会にとって「安心と信頼の旗印」となります。それによってお客様に愛着を感じて選び続けてもらうことができ、企業の持続的な発展がもたらされると考えています。

CS推進では、まずトップの明白な方針と経営理念・企業理念の従業員への浸透策が重要です。自分の仕事がCSとどのようにつながっているかを認識して、一人ひとりが当事者意識で行動できるように、消費者ニーズの背景や長期的な社会の動きなども含めて考え、従業員教育を繰り返し行います。

私は事業部で7つの工場のCS推進にあたっていますが、10年間、イソップ物語の「ガチョウと黄金の卵」の話を繰り返し取り上げて従業員教育を行っている工場があります。「黄金の卵」、すなわち利益は、健康で元気なガチョウこそが生み出せます。それを自分たちの業務に当てはめて考えるわけです。
 消費者視点を業務に取り込むことで、お客様に満足いただける商品を生み、利益を生むことができます。その結果、経営が安定して従業員のES(employee satisfaction:従業員満足)、つまりやりがいまで高まるといった事例です。こうした事例を社内に広げていくことも重要だと感じています。

さらに、お客様の声をお客様サービス室や企画部門のみの資産にしないことも重要です。たとえば、私の事業部ではお客様からのお褒めやご指摘の声を従業員一人ひとりに聞いてもらう活動を2007年から進めており、現在までに約560件のお客様の声を聞いてもらうことができました。

木村彰宏さん

木村 富士フイルム株式会社CSR推進部コンプライアンス&リスク管理部の木村と申します。私は消費生活アドバイザーの資格を7年前に取得しまして、お客様センターやCS推進部門を経て、今年の7月に現在の部署に移動し、主にコンプライアンスの推進を担当しています。

私は、消費者志向経営とは、企業にとって最も重要なステークホルダーの一つであるお客様(消費者)にしっかりと向き合って、お客様に満足いただくことにより自社のファン、当社ではロイヤルカスタマーと言っていますが、このロイヤルカスタマーを増やし、企業の持続的な発展につなげていく取組みと考えています。

消費者志向経営の意義は、企業と消費者双方にメリットをもたらすうえに、行政も事業者活動の適正化にかかるコストを減らすことができ、企業・消費者・行政でwin-win-win、トリプルウィンの関係が構築できると考えています。

当社の取組み事例を2つご紹介したいと思います。
 一つ目はISOの規格活用です。
 品質マネジメントと環境マネジメントを統合したマネジメントシステムによる内部監査を進めています。また併せて、B to C部門ではISO10002(苦情対応マネジメントシステム)の自己適合推進にも取り組んでいます。これらにより業務プロセスの改善を各部で推進しています。
 二つ目は、社内における消費生活アドバイザー資格取得の奨励です。CS推進室という部門で資格取得を推奨しており、顧客視点で考えられる人材を当社グル―プの中で増やしていく活動を行っています。

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