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特集記事

(3)倫理的消費(エシカル消費)の実践

2015年に策定された消費者基本計画には「倫理的消費に関する調査研究の実施」が入っています。背景には、環境配慮や食品ロスの問題、被災地の復興、そして社会的に意味のある消費行動が求められていることがあります。

また、消費者庁の「倫理的消費」調査研究会の中間取りまとめの一文に、倫理的消費(エシカル消費)とは「地域の活性化や雇用なども含む、人や社会・環境に配慮した消費行動」と定義されています。
 すなわち、消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援したりしながら消費活動を行うことです。

人に配慮した消費には障がい者支援商品が、社会に配慮した商品にはフェアトレードの商品や寄付付き商品、環境に配慮した商品にはエコ商品、リサイクル商品、資源保護等の認証商品があります。地域に配慮したものですと、地産地消の商品、被災地の産品があります。

私は本日、新幹線でカップの横にカエルのマークがついたコーヒーを買いました。生物多様性を保護するための資金を拠出する仕組みになっているレインフォレスト・アライアンスのコーヒーです。新幹線では、いろいろな客層に訴えられるので広まりやすく、いいですね。

エシカル消費には、買わないという行動もあります。
 エシカル消費がイギリスで始まったときにはボイコット運動なども伴っていました。たとえば動物実験をしている商品を買わない、環境を汚染している企業のつくった商品は買わないといった行動です。

この「倫理的消費」調査研究会の中間取りまとめでは「消費者の視点」「事業者の視点」「行政の視点」から、その意義をまとめています。

「倫理的消費」調査研究会の中間取りまとめ

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ここで、消費者が消費者市民社会をつくっていくには事業者や行政もかかわっていかなければならないことが明確に記されています。

また、消費者は、消費という日常活動を通して社会的な課題の解決に貢献する、社会に優しいものを買う。これは買い物をする際の「第4の尺度」といわれています。これもぜひ知っておいていただきたい言葉の一つです。
 これまでの「安全・安心」「品質」「価格」にプラス「倫理的消費」です。プラス「環境」といわれていた時期もありましたが、現在は環境も含めて「倫理的消費」。このような消費によって消費者市民社会に寄与できます。

これに対して事業者も、「企業市民」「企業の社会的責任」という、まさにCSRの考え方に基づいて、商品開発において消費者市民社会を意識することになります。企業経営のあり方に対しても、社会的責任が一層重視されると思います。

商品の選択で迷ったときに、こちらの企業のほうが環境にも人にも優しいということで評価が上がり、選択される。企業の社会的責任として、商品・サービスそのもの以外でも(経営姿勢など)たくさんできることがあるのではないかと思います。
 行政はその橋渡しをする、ということになります。

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