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資格活用への取組み

■会員社への情報発信も

 JARO業務委員会では、事例集の作成作業も行っている。
 この事例集は、JAROの広告審査判例集ともいうべきもので、新たな審査結果が出ると追加され、JAROのウェブサイトにある「会員専用ページ」に掲載される。

 2013年度に追加された事例には、「戸建住宅のテレビCMで『○○○万円の家』とうたっていたが、見積りをとったら1,000万円近くになった」(戸建住宅)、「『期間限定、無料お試し』と表示されているが、期間中は解約できず、そのまま翌月初日から課金される」(ケーブルテレビ)といったものが見られる。

 「会員専用ページ」には事例集のほか、寄せられた相談が閲覧できるデータベースもある。会員社は、これらを見て、問題となる広告・表示の最新情報を入手し、勉強することができるわけである。
 「キーワード検索もできますので、これから制作しようとしている広告の表現チェックに利用していただけます」。(今泉さん)

 さらに、JAROが広告・表示についての相談(前記「照会」)を受け付けていることも、会員社の大きな助けとなっているようである。

 「法務部門や広告専門のスタッフのいない、小規模の会員社からの相談が多くなっています。いろいろなご質問によって相談員も勉強させていただいています」。(野崎さん)

 「ただ…」と野崎さん。
 「実際にだまされたという被害そのものを私たちは救済できません。相談者には『表示を見て同様の誤認をする人が出ないよう、広告主に問題を指摘し改善をお願いします』と言いますと、『被害が救済されないのなら』とJAROでの対応を希望されない方もいらっしゃいます」。
 一方で、「自分と同じような人を増やしてはいけない。こういった表示は絶対変えさせてほしい」という相談者もいるそうである。

 JAROでは、返金など取引内容または契約にかかわる相談の場合は消費生活センターなどを紹介している。

■広告・表示の最近の苦情傾向

 JAROへの相談状況は資料2のようになっている。
 1997年以降、頭打ち傾向が続き、2007年からは下降、2011年以後再び増加に転じている。

広告・表示の最近の苦情傾向

(資料2)「ALL ABOUT JARO'S WORKS」より

 頭打ちになった理由は特定できないが、企業の消費者対応窓口が充実し、そちらへの相談が増えたためとも考えられる。

 2013年度の媒体別の苦情では圧倒的にテレビが多く、それに続いてインターネットが抜きん出ている。
 10年ほど前は、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌といったマスメディアが上位だったが、現在は新聞、雑誌は順位を下げ、インターネットの相談が急激に増えているとのことである。

 しかし、テレビとインターネットでは、苦情の内容がかなり違っている。
 テレビは不快、懸念などといった意見のようなものが多いが、インターネットのほうは、通信販売サイトの表示に関する苦情が多いそうである。

 2013年度の相談の主な特徴として、以下のようなものがある。

  • 1.オリンピック関連表現の相談
     「オリンピック応援セール」といった表現の相談のほか、JAROウェブサイトの「NGの恐れのあるオリンピック広告の表現例」へのアクセスが急増した。
  • 2.消費税増税
     「『消費税増税前の特別セール』と表示してもよいか」などと、事業者から広告制作・審査に際した相談が寄せられた。
  • 3.減らない健康食品の問題広告
     健康食品の相談は、10年以上前から苦情の上位に来ているが、いっこうに減っていない。

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