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資格活用への取組み

■MOTプロジェクトで新たな企業風土の創造を

 そして2006年度から、「MOT(モット)プロジェクト」が始動。
 これは、お客さまを大切にする会社の実現に向け、新たな企業風土の創造をめざすプロジェクトである。
 MOTには「(M)もっと(O)お客さまを(T)大切に」という意味が込められていたが、この活動は、その後も、Moment of Truth(真実の瞬間)の意味も込め「MoT運動」の名称で継続されている。

 冒頭に掲載した「お客さま満足度調査」も、この時にスタート。お客さま満足度の定点観測を通して、改善の成果が「見える化」された。

 「少なくとも、半数のお客さまは“満足”と答えてくださる会社になりたい」という会社の思いは、昨年、満足度が50%台に乗ることにより達成された。
 「お客さまの声」統括部消費者関連室業務役の佐藤喜次さんは語る。「現在は、55%が目標です」。

 明治安田生命は、昨年度、90歳以上のすべての契約者を調査し、その結果、これまで請求されずにいたことが判明した契約の支払いをほぼ終了した。

 保険は、契約者が死亡したり認知症になった場合など、請求がなされないままになってしまうことがある。とりわけ65歳頃までに保険料の支払いが終了し、亡くなるまで契約が適用される終身保険は、その可能性が高くなる。

 明治安田生命がこうした状況を把握するきっかけとなったのは、2011年の東日本大震災だった。
 震災後、契約者と連絡を取ろうとしたものの、高齢の契約者の調査が難航した。震災前から連絡が取れない状態だった人がいることが明らかになり、今回、他生保に先駆け、いちはやく全国調査を実施したのである。

 また同社では、2008年から、営業担当者が、最低でも年に2回は、「ご契約内容の確認」や「誕生日や入学・就職などの節目の挨拶」等の活動を通じ、定期的に契約者のもとを訪問する「安心サービス活動」を推進している。この訪問のなかで請求もれを防ぐ活動も行っている。
 新たな契約のお勧め中心の活動から、安心サービス活動中心に移行し、お客さまの声を受け止め、業務改善に活かす、そうした取組みの積み重ねにより、お客さま満足度が向上した。

 MOTプロジェクトが目標とした、お客さまを大切にする会社の実現に向けた歩みは、着実に進んだようである。

■「お客さまの声」統括部とは

 「お客さまの声」統括部は、大きくは3つに分かれている。

 一つは、企画的な仕事を担当するラインだ。ここは、

  • ・お客さまからのお申し出データの収集・原因分析と改善策の提言を行うお客さまサービス業務グループ。
  • ・お申し出に対応するための教育・指導を担うお客さまサービス改善グループ
  • ・消費者行政・団体との連携を深め、消費者問題の専門家からの意見を業務に反映していく消費者関連室

 より構成されている。

 二つ目は、直接お客さまとの接点をもつ、お客さまご相談センター。
 同社には、全国に74の支社、957の営業所があり、お客さまからのお申し出には、お申し出を受けた営業担当者や支社窓口が対応している。
 各支社には、お客さま対応の責任者として「お客さまサービス部長」が配置され、主に苦情のお申し出に対応しているが、お客さまご相談センター管下の「お客さま相談室」がその支援・指導等にあたっている。

 三つ目が、電話照会窓口のコミュニケーションセンター。東京と大阪に置かれ、約380人体制で対応している。
 コミュニケーター(オペレーター)が一次対応にあたり、複雑なお申し出には職員が二次対応にあたる。

 たとえば、コミュニケーションセンターにお客さまから、苦情のお申し出の電話が入ったとしよう。

 電話のやりとりは、社内イントラネットの「お客さまの声」システムにより担当支社と情報共有されており、その日のうちに、担当者からお客さま対応が開始される仕組みとなっている。

 消費者関連室の松田充弘室長は、
 「お客さまのお申し出は、瞬時に支社で把握できます。支社は、“即日アクション”が基本ですので、その日のうちにお客さまに電話や訪問をします。
 対応が遅いと、それがまた苦情のお申し出になります。すぐに動くことで、それを防止できます」。
と説明する。

 苦情のお申し出に対しては、「すぐに担当地区の営業担当者や営業所長がご説明に上がります」と、佐藤業務役。
 「それにもご納得いただけない場合は、統括する支社のお客さまサービス部長がご説明にうかがいます。さらにご説明が必要な場合は、本社のお客さま相談室からお客さまサービス推進役というスペシャリストがうかがいます。
 こうした、お客さまにご満足いただくための社内の連携システムが、ようやく構築できてきたように思います」。

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