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資格活用への取組み

■お客様の声の傾向は?

 お客様の声は、江崎グリコへの申し出が最も多く、その約1/3がグリコ乳業、ついでアイクレオ、グリコ栄養食品の順となっている。
 4社とも「お問合せ」が最も多く、全体の約80%を占める。

 「夏に食べたあのアイス、今はどこで買えますか?」
 「バトンドールは通信販売で買えないですか?」
 「LINEキャンペーンがある商品は?」
といった例で、「お問合せ」内容のイメージをお伝えできるだろう。

 ちなみにバトンドールは、江崎グリコが高島屋大阪店、阪急うめだ本店内の直営店で限定販売している高級ポッキーで、直営店でのみ購入できる商品である。

 キャンペーン専用ダイヤルを用意していても、お客様センターへもお問合せが入ってくる。パッケージに書いてある電話番号は、お客様が利用しやすいのだろう。
 東日本大震災以降は原料原産地に関するお問合せが急増した。最近は減少傾向だが、「震災前と比べると、やはり消費者の不安は大きい」と感じているとのこと。

 幼児向けのお菓子では「虫歯にならないですか?」、また粉ミルクのアイクレオには、お母さんからミルクの飲ませ方などの相談も寄せられる。

 「ミルクの保存方法など商品に関連することはもちろんですが、飲ませる時期など、お子様の成長に伴ったご相談もいただきます。私は、NPO法人日本子育てアドバイザー協会が認定する子育てアドバイザーの資格も取得させてもらいました」。
 こう話すのは、同センターの毛利朝香主任である。

 調理方法をたずねる男性も増えている。
 「カレーを作っています。ナスはどこで入れればいいですか」といった電話が入るそうである。

■JIS Q 10002による苦情対応

 では、お客様からのご指摘については、どう対応しているのだろうか。
 江崎グリコの場合をうかがった。

 「お客様からのご相談は、受付終了後、その日に集計し、関係者に周知しています。
 翌朝、関係者が集まり、前日のお客様からのお申し出を共有します。『異物混入』『体調不良』といったお申し出に関しては、迅速に社内で情報共有し、速やかに対応します」。(上野センター長)

 ご指摘のなかでも、重大と判断された内容は、関連部門の責任者にすぐに報告する。
 お客様への報告は、当該商品が社に到着後5営業日以内に行う。また、品質保証部と製造部は、ご指摘の対策結果を確認し、関係者に周知する。

 また、お客様センターは社長直轄部署であり、寄せられた相談内容は月報にまとめられ、さらに1年間の状況もレビューとして社長に報告されている。

 「重大な問題ではないか、と気づくのは感性のようなものがあります。お客様センターと品質保証部が同じ建物にあるので、小さな気づきでもすぐに相談に行きます」。(上野センター長)

 グリコグループは、「JIS Q 10002:2005」(品質マネジメント−顧客満足−組織における苦情対応のための指針)への自己適合宣言をしている。

 「アイテムが多岐にわたっており、商品によって対応も異なりますが、基本は、すべてのお客様に誠意をもって平等に対応できるよう、日々、改善することです」。(上野センター長)

 改善はお客様対応マニュアルとして文書化され、担当者が違っても情報を共有し、公平で透明性のあるお客様対応につなげられている。
 とりわけ、商品の交換、返金、補償等が発生する相談については、JIS Q 10002:2005に則ったマニュアルは有効であろう。

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