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資格活用への取組み

■ホームページのトップページで相談案内

 同社ホームページのトップページに「お客様119番室」の電話番号が記載されている。その下に(公財)日本中毒情報センターの「中毒110番」の電話番号が掲載されている。こちらは、24時間、365日医師・薬剤師が常駐し対応するので、緊急を要する相談の窓口として利用できる。

 たとえば、幼児が間違って大量に薬を飲んでしまったときなど、「お客様119番室」が閉まっていても、「中毒110番」で対応できるわけだ。日本中毒情報センターの許可を得て、トップページに電話番号を載せている。

 メールでの相談窓口は設けていない。小川部長は「いろいろ議論した結果です。と言いますのも、薬剤との飲み合わせの相談がかなり多いんですね。これは、電話でお客様に質問させていただきながら細かい部分をうかがいます。お薬ですから、正確さが大切です」。

 トップページでの案内の掲載は5年前に始まる。「お客様119番室」のなかから、「ホームページの1面に相談窓口を載せよう!」という声が上がったという。「相談電話がかなり増加することを覚悟してスタートしました」。(小川部長)

■「お客様の声」から次々と新製品が誕生

 「お客様119番室」に寄せられた相談や申出は、月報にまとめられたうえで、年次でトップに報告されている。また半年に1回、社内のイントラネットに配信され、営業部門との共有が図られ、その情報は、販売促進や営業展開等に使用されている。

 製品の改良・開発につながる相談については、3か月に1回、研究部門と情報をすりあわせ、データを絞り込んでいる。そのなかで、新製品のキーワードが浮かび上がってくるという。

 ただし、品質クレームについては、速攻であたる。すぐに、品質管理や開発部門、さらに各支店にある学術部門といった関連部署と情報を共有するようにしている。使用満足度が低い場合は、すぐに改良される仕組みができている。

 「お客様119番室」は医療機関等からの問合せにも対応している。その中で専門的な質問には、SM(セルフメディケーション)安全管理部の担当者へとつないでいる。

 「安全にかかわる相談については、薬事法で報告が義務づけられていまして、こちらが窓口として受けた内容はすべてSM安全管理部に報告し、そこで判定し厚生労働省に届けるようになっています。私たちは、お客様からの情報を一番先に受け取るわけですから、いかに正確に迅速にSM安全管理部に渡すかが重要です」と、薬事部グループマネージャーの青木真理さん。

 このほか「お客様119番室」は、広告やパッケージなどの表示チェックにもあたっている。法律関係については専門部門が行うので、ここでは「文字を大きくしたほうがよい」「使用法がこの絵ではわからないだろう」といった、お客様視点での提案が中心である。

 ホームページに掲載されている「よくあるお問い合わせ」(資料1)が、たいへん詳しい。電話では聞きにくい質問や、ちょっとした疑問は、こちらを読んでおくと、かなり解答が得られそうである。

資料1

資料1「よくあるお問い合わせ」より、「リアップ」シリーズ(同社ホームページより)
http://www.taisho.co.jp/contact/faq/index.html#RIUP

 またホームページに、お客様の相談をもとに開発・改善されたたくさんの事例が「お客様の声」(資料2)として紹介されている。これにより、改良・改善のスピードアップが進むとともに、お客様の声を大切にしている会社であることも伝わるであろう。

資料2

資料2「お客様の声」にある事例(同社ホームページより)
http://www.taisho.co.jp/contact/voice/index.html

 お客様からの相談がもとになって開発された製品には、たとえば、低カロリーのドリンク剤やノンカフェインのドリンク剤がある。

 お客様からの電話は、「このドリンク剤のカロリーはいくらですか」「ドリンク剤を夜寝る前に飲むと寝られなくなる。どうしたらよいですか」というものだった。

 ここから、なぜ、こういう相談が寄せられるのかを考え、新製品のシーズが抽出されていった。眠れないのはカフェインが含まれているので避けられない。では、カフェインのない製品をつくってみようか、と展開されたのである。

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