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資格活用への取組み

■施工業者からの相談にも迅速に対応

 ご相談者は、4割弱が一般の方、施工業者が5割強、残り1割弱が社内からとなっている(2012年)。

 商品数が多いため、電話で質問される商品の内容を素早く、正確に理解するのは、簡単ではない。住宅設備機器を幅広く扱っているうえ、20年以上前の商品が現役で使われている場合もあり、市場ストック品種は膨大である。

 スピードも要求される。
 現場から電話してくる施工業者は、とても急いでいることが多い。しかも、業界用語をまじえ、専門的な内容をたずねられる。
 電話を受け取った担当者が「それは何ですか?」と言おうものなら、「わかるものに代われ!」と、まったく相手にされない。

 とりわけ、施工現場は男性社会であり、女性が電話に出ると、「男に代われ」と言われることも、少なくなったとはいえ、まだある。

 「逆に、質問の内容にパッと答えると、『女性なのにすごいね』と言われる場面もあります。それは、やはり励みになります」。(お客様相談センター技術相談グループ 鈴木智子さん)

 ノーリツでは実際の機器を使った実習を行うとともに、確認用の機器(資料1)もすぐに使えるようにしてある。

資料1

 お客さまからの相談に答えるために蓄積された知識やスキルが、社内や施工現場で活きる。ベースは自社製品なのだから、考えてみると当然なのだが、実行できるかどうかは相談センターの力量に負うところが大きいと思われる。

■お客さまの「声」を社内に伝えるために

 コンタクトセンターに寄せられた相談は、日報が関連部門にメールで送られるほか、毎月、「お客さまの声検討会」の報告書と議事録にまとめられている。

 お客さま部CS推進グループは、この「お客さまの声検討会」および「お客さまの声を聴く会」の事務局を担当するほか、社内イントラサイト「全社CS情報ポータル」でノーリツ全体のCSについての取組みを情報発信し、社内のCS風土の醸成を図っている。

 「お客さまの声検討会」は、毎月、各センターや営業部門・サービス会社などでお客さまと直接接している部署の責任者が集まり、お客さまから寄せられた情報を関連部門長と共有する会議である。

 そこで出された品質問題については、分野別品質会議で検討され、経営判断が必要な改善案件はグループ品質会議のCS案件として審議される。この会議は、社長、関連部門の本部長(常務)などのほか、関連会社の社長も出席するので、経営的な判断が必要となる改善案件を迅速に決定でき、また会社全体のCS風土を醸成する機会となっている。

 「お客さまの声を聴く会」は、工場や開発部門などに出かけ、お客さまから寄せられた相談の録音を聞いてもらうものである。聞いてもらう内容は、お客さま相談センターとCS推進グループが中心になって抽出する。

 その選択基準について、大浪センター長は
 「品質の問題については、改善する別の仕組みがあります。そこまでに至らないお客さまのご不満をできる限り汲み上げたものを社内にフィードバックし、『気づき』を与えるのが私たちの重要な役割だと思っています」。

 実際の電話対応の録音を聞いた社員からは、「お客さま視点の大切さを認識できた」「開発の参考になった」「よく受け答えしている」「自分にはできない」といった声をよく聞くそうである。
 また、お客さまから寄せられた電話の録音は、社内イントラサイトの「CSアンテナ」からも聞くことができる。全社でお客さまの声に接することができるようになっているのである。

 他社製品の重大な事故の影響も、気になるところである。
 2006年、他社が製造した瞬間湯沸器に対して、経済産業省より製品回収命令が出された。不正改造結線による死亡事故が多発していたためだった。

 当時は問合せ数が増加し、「お宅の商品は大丈夫なのか」という電話が多数寄せられたという。また、他社を引き合いに出し「同じではないのか」と、不信感をもって相談するお客さまがかなりおられたという。

 このとき、お客さま相談センター厨房・システムグループの八木房栄さんは、
 「これは、湯沸器内部の配線を本来つないではいけないところにつないで不正改造することによって起きた事故なので、商品の問題ではありません。ノーリツではそのようなことをしておりません。大丈夫です」と力強く説明したという。

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