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活躍する消費生活アドバイザー

ところで、知的財産管理技能士の資格も、取得されていますが。

畑野 はい、2級をもっています。この資格を知っているという方は少ないのではないでしょうか。私も知的財産戦略の担当になるまで知りませんでしたが、国家資格です。

 たまたま友人に「今度、知的財産の仕事をすることになりました」と連絡をしたら、「実は、私、こんな資格をもっています。畑野さんもチャレンジしてみてはどうですか」と。それで「やってみようかな」という気持ちになりました。
 2級を取得するためには、まず3級を取得することが必要なので、一昨年の7月にこの事務局に着任した後、同じ年の11月に3級、翌年(去年)の3月に2級を受験しました。

 現在、仕事をしていくなかで、「この資格が役に立ったなあ」と感じたことは、残念ながらあまりないですけれども(苦笑)、企業の法務部門などで働く人には取得すべき資格とされているようです。知財関係の法令のひと通りの知識を習得するにはよい資格だと思います。

 この事務局では、たぶん私がパイオニアでしょう。私が合格したのを知って、事務局の若手職員が先日2級にチャレンジしました。結果は聞いていませんが……。

そして、今年は消費生活アドバイザー資格を取得されました。ちなみにどちらが難しかったですか。

畑野 消費生活アドバイザー試験のほうが圧倒的に難しいと思いますね。
 知的財産管理技能士は、2級まではマークシート方式です。消費生活アドバイザーは論文試験や面接試験がありますよね。
 試験範囲も、分野が違うので単純には比べられないですけれど、感覚的には消費生活アドバイザー試験のほうがずいぶん広い気がしました。

 受験したきっかけは、消費者庁の取引対策課長だったとき、同じ課の法執行専門調査員のほとんどの方が消費生活アドバイザーの資格を取得されていたので、当時から「どんな試験なのかな」と興味をもっていました。

 本格的に勉強に取り組んだのは、知財ビジョンの策定が一段落した昨年7月頃からでしたでしょうか。平日の勉強には30分から1時間くらいあて、平日の勉強のとりこぼしは土日にまとめてカバーしました。試験勉強期間中は、結構ストイックな生活をおくりました。(笑)
 試験では、取引対策課のメインの仕事であった特定商取引法の出題が多く、また、私が法改正を担当した、いわゆる訪問購入についての難しい出題もありました。そういう点ではアドバンテージがありましたかね。

 論文試験は800字の小論を2本。字数も多いし、また、手書きで清書するのは時間がかかりますから、過去の出題テーマから何題か選んで実際に書いて練習しました。コンパクトにまとめるのは、結構難しかったです。
 ふだんの仕事では、パソコンなどで資料を検索しながら原稿をつくりますから、先に考えをまとめたうえで、何も参照せず文章にするのは久しぶりでした。

消費生活アドバイザー資格試験の勉強で、役に立ったところはございますか。

畑野 社会保障や年金、医療の分野などは、たいへん勉強になりましたね。
 消費者庁にいたとき、仕事上では、消費者関連法と向き合うことが多く、また、大学では経済を勉強したので、法律、経済分野は比較的取り掛かりやすかったですが、消費者問題の裾野の広さを改めて感じました。

 消費生活アドバイザー資格は、とくに消費者行政に携わる方には、ぜひトライしてほしいですね。
 他省庁から消費者庁に出向するなどして、消費者行政の一端を担ったということであれば、ふだん仕事をしていくなかで得られる知識は多いと思います。
 こうして自分が吸収できた知識をこの試験で確かめることもできます。
 消費者庁は、世の関心が高い官庁でもあり、大変ではありますが、やりがいがある職場だと思います。「あの畑野さんでさえ合格できたのだから自分も……」と続いてくれると、うれしいですね。(笑)

消費生活アドバイザーの役割について、ご意見などをお聞かせください。

畑野 消費生活アドバイザーは、今後ますます重要になると思います。

 取引対策課で特定商取引法を担当していた当時、高齢者の方々の心痛む被害事例に数多く接しましたので、消費者問題イコール高齢者問題という印象を非常に強くもちました。

 高齢化社会は進む一方ですし、いろいろと取締りも強化されていますが、それでも高齢者の被害は跡を絶たないでしょう。
 高齢者の立場にいかに寄り添い、消費者問題を解決していくか、といった役割が、質的にも量的にも必要とされると思います。

 また、行政に携わる方が、消費生活アドバイザー資格を通じて、消費者視点に立つとはどういったことなのかを肌で感じ、行政庁の職員として仕事をした経験にうまく組み合わせられれば、面白い仕事ができるのではないでしょうか。

 消費者行政は、社会の変化に合わせて制度が変更されます。その動きが早いものですから、2年前、3年前の知識では必ずしも十分でないことがよくあると思います。

 たとえば、3年前に取得された方にとっては、2012年に特定商取引法に追加された訪問購入の規定は新鮮な知識となるわけです。最近では消費者安全法も改正されました。食品表示や集団訴訟に関する新たな法律もできました。景品表示法も改正されるようです。

 常に新しい情報に接することが重要ですし、勉強することを心がけていく必要があります。
 私はさっそく、この6月に消費生活アドバイザー資格の更新研修を受けます。1講座の受講料2,700円は安いと思います。
(取材:2014年5月1日)

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