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活躍する消費生活アドバイザー

黒砂糖の品質保証業務を担当していた時に、ノンカロリーのガムシロップを開発されたのですね。

中村 はい。関連会社の日新カップ株式会社の企画管理部に配属されていた時に、「ガムシロップ カロリーゼロ」の開発に携わりました。

ガムシロップ カロリーゼロ

 ちょうど、当社がガムシロップの新工場を建てるという時で、これを機に特徴のある新商品を発売することになりました。そこでノンカロリーのガムシロップ開発プロジェクトが立ち上げられ、参画しました。

 目指したのは、保存料なしの商品でした。それまでノンカロリーのガムシロップといえば、保存料が入っているのが当たり前でした。
 普通のガムシロップは、糖度の高さで微生物等を抑えているので、とくに保存料を加える必要はありません。ノンカロリーの場合は、高甘味度甘味料などで甘みを作るので水分が多く、雑菌が繁殖しやすいことから、保存料を入れて日持ちする商品にしています。
 そのため、保存料なしを実現するには、生産ラインを無菌充填システムにしなければなりませんでした。当社では初めての導入ということで、製造現場や技術部門など、いろいろな人が知恵を絞り何度もテストを繰り返し実現しました。

 ここでの私の担当は、シロップの設計でした。試験室でさまざまな甘味料を組み合わせて、よい味を作るのです。
 いちばん心がけたのは、砂糖会社の商品ですので、砂糖に似たおいしい甘さのガムシロップを作ることでした。いろいろな組み合わせを数え切れないくらい試しました。
 最初はシロップだけで味見をします。「これなら」という組合せができると、実際にアイスコーヒーに入れ、プロジェクトのメンバーにも飲んでもらって評価を聞きました。これを何度も繰り返し、現在の商品となりました。

商品開発でやりがいを感じられたのは? また、ご苦労されたことは?

中村 商品開発は消費者に喜ばれる商品の仮説を立て、それに基づいて商品を作り上げていきます。それが実際に商品となって世の中に出て、消費者に購入していただいた時、受け入れられた時がいちばんうれしいです。
 苦労ということではありませんが、考えた商品を量産するにはどうしたらよいか、というのが作りたい商品を作るための2番目のステップになります。工場には何度も足を運び、担当者と相談しました。

 業務用冷凍食品の開発に従事していた時には、水まんじゅうにフルーツ餡が入った冷凍食品を開発しました。餡は神奈川県にある製餡所で作ってもらい、愛知県の冷凍和菓子を製造している工場に餡を持ち込んで水まんじゅうの形にしてもらいました。

 商品開発のアイディアは、いろいろなところから広げて行きました。雑誌やテレビからだったり、行列のできる店の話題のメニューだったり、旅先や出掛けた時に「おいしい!」と感じた食べ物からということもありました。また、その地方の郷土のお菓子や食品などに出会うと、「これを多くの人に楽しんでもらうにはどうしたらいいんだろう」と考えました。甘いものが大好きです。

入社動機の一つには、その辺もあったのでしょうか。

中村 いいえ(笑)。学生時代に日本ヒーブ協議会(HEIB:Home Economists In Business、企業内家政学士)の講演会に参加したことがきっかけです。そこで、消費者の声を企業の活動に反映させる、ヒーブという仕事の仕方があると知りました。
 「こういう仕事がしたい!」と思いまして、入社試験の面接で「私、ヒーブになりたいんです」と話し、面接官がとても驚いていたのを覚えています。

 実は、消費生活アドバイザー資格を知ったのも、その講演会でした。「ヒーブになるために勉強したことが活かせる資格としては、消費生活アドバイザーがありますよ」というお話がありました。それで学生時代から、「絶対に消費生活アドバイザーの資格を取ろう」と思っていました。

どのように勉強して合格されたのでしょうか。

中村 資格を取ろうと決意はしたものの勉強を始めるまではたいへんでした。インターネットが普及していない時代でしたので、いろいろと探して日本産業協会の通信教育があることを知り、それをまず受講して基礎知識を蓄えました。当時、社内の受験者は私1人でしたが、通信教育の費用は会社が援助してくれました。

 勉強を始めてみると、大学で学んだ「食生活」や「衣生活」分野はよいのですが、法律学や経済学の分野は苦労しました。参考図書も読み込んで基本から理解するようにしました。
 学生時代の友人も就職した別の会社で消費生活アドバイザーの勉強をしていたので、情報交換しながらがんばることができました。

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