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活躍する消費生活アドバイザー

CO2ゼロに向かう手立てとして、どのようなことをお考えですか。

村上 とにかく気候変動とエネルギーの問題への関心を高め、誰もが自分ごととして意見を述べ、行動できるようにする必要があると思っています。そのためには、学校教育や社会教育、社員教育や高等教育など、さまざまな教育現場に気候変動とエネルギーを考えるワークショップを広げていきたいですね。また、政策決定のプロセスをもっとオープンにして、市民参加の機会を増やしていくことも重要だと思っています。

ところで村上さんは、どこで消費生活アドバイザー資格と出会ったのですか。

村上 転職して以来、私は仕事で環境教育にも取り組んでいたのですが、自然の大切さを学ぶだけでは世の中が変わらないと思い、都市の生活を変えるための環境教育に取り組んでいました。そして、消費者教育のなかに環境やフェアトレードなどの視点を入れていきたいと考えていた時に、辰巳菊子さんと出会いました。辰巳さんが消費者団体の環境委員会で活動していると知って、そこに参加すると描いているような活動ができるようになるかもしれないと思ったんですね。その団体が(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(NACS)でした。
 ところが、NACSは消費生活アドバイザー資格がないと入れないことがわかり、試験を受けることになったのです。過去問題を3年分買ってひたすら解いたのを覚えています。第2次試験の小論文には環境分野の設問があったのでラッキーでした。契約に関する法律など、自分の仕事では学ばない内容にふれるよい機会にもなりました。
 幸い試験に合格し、NACSの環境委員会に参加しました。理事になるまでは環境委員会しか知らなかったですね。環境委員会では、絵本タッチのわかりやすい冊子を作ったり、ワークショップを実施したりしていました。

NACS環境委員会発行小冊子
「わたしたちの暮らしはすべて世界につながっている」

資格取得して、役に立ったことなどがございましたら。

村上 消費者への働きかけという点で、活動の場が広がったように思います。2000年前後はグリーンコンシューマー運動が盛んで、そうした分野の活動に参加することもできました。
 消費生活アドバイザー資格が私の活動に大きな影響を与えたのは、フリーランスになった今ですね。
 エネルギー関係の審議会の委員を引き継ぐことになり、消費者の立場から資源エネルギー庁の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会をはじめ、エネルギー政策を議論する審議会の委員を務めています。
 今年の秋以降、第6次エネルギー基本計画の策定に向けた議論がスタートします。並行して他省では地球温暖化対策計画の見直しが進んでおり、これからの半年〜1年が、脱炭素社会への転換においてとても重要な時期となります。この動きに人々の関心を高めて、その声を基本計画に反映させていくことが最重要課題と考えています。

今後の抱負などを。

村上 ここ数年、エシカル消費や食品ロス、脱プラスチックなどへの関心が高まっています。それらと同等、いやそれ以上に脱炭素への関心を高め、どのような社会にしていきたいか、そのためには何が必要かを議論できるような場を作っていきたいと思っています。エネルギーワークショップもその一つですが、もう少し大きな、たとえば自治体サイズでのマルチステークホルダー会議なども必要だと思います。
 また、国レベルではフランスやイギリスが取り組んでいるような「気候市民会議」を、日本でできるようになればと思っています。気候市民会議は政府や議会が主催する、無作為抽出の市民による政策提言のための会議です。
 気候変動は、政府も企業も市民も総力を挙げて取り組まないと解決できません。我が事としてみんなで取り組めるようになるためのさまざまな場を作っていくことに、微力ながら貢献したいと思っています。

(取材:2020年11月16日)
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