生活に密着した知識や法令を学ぶために取得。仕事と生活に役立つ一石二鳥の資格です
和田 由貴(ゆうき)さん(消費生活アドバイザー29期)
節約アドバイザー
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生活に密着した知識や法令を学ぶために取得。仕事と生活に役立つ一石二鳥の資格です
和田 由貴(ゆうき)さん(消費生活アドバイザー29期)
節約アドバイザー
いつ頃から「節約アドバイザー」としてお仕事をされているのでしょうか。また、そのきっかけは?
和田 もう23年になります。きっかけは、私が自分のWebサイトを作ったことなんですよ。
当時は、今のように通信回線が常時接続ではなく、通信料金が安くなる夜間にサイトを更新したりしていました。世帯当たりのパソコン普及率が6割弱で、スマホももちろんない、SNSもない時代でした。
父が4歳の孫娘のためにパソコンを買ってくれたのが始まりです。「小学校でパソコンの授業が始まるというから、早くからさわらせておいたほうがいい」と言いまして。
それで「まず親が使えなければ」と思ったものの、最初の頃、私はタイピングすらおぼつかなかったんです。友達から「チャットをやると、人と対話するからタイピングがうまくなるよ」と教えてもらい、チャットを開始。子育てをしていた時期だったので、同年齢のお母さんたちのチャットルームに入り、いろいろ情報交換していました。
タイピングがうまくなってきた頃、チャットルーム仲間が「自分のホームページを作ったのよ」と見せてくれたんです。当時の個人サイトは、今から見るとかなりシンプルで、掲示板に趣味の写真を載せているくらいだったんですが、すごく感動しました。その人もパソコン初心者だったので、「私もできるに違いない」と思いました。
たくさんの人に見てもらえるホームページにするにはテーマが必要ですよね。最初は、よく知っている家事の裏技を公開するサイトを考えましたが、ネタ切れの不安がありました。「ずっと更新していけるものを」と、間口を広げ「節約」をテーマにしました。
それから、来る日も来る日も「節約」というテーマで一所懸命サイトを作り、公開しました。私は凝り性なんです。
そうしたら、当時は自分のホームページをもっている人が少なかったのでマスメディアの目に留まり、始めてから2〜3か月でテレビや雑誌から取材の依頼をいただくようになりました。
メディア側から「ホームページを見まして」と?
和田 はい。「節約上手な奥さん」といった感じで、ちょこちょこメディアに出ているうちに「Webサイトで書いてください」とか執筆依頼もいただくように。揚げ句の果てには講演依頼もくるようになりました。
初めは、自分が好きな節約とか家事の知恵について書いているだけでよかったんですけれど、しっかりした情報発信をするには裏付けが必要だと考えました。
そこで一番最初に取り組んだのが大学なんです。私は短大の家政学部で食や家事まわりのことはひととおり勉強していましたけれど、「勉強し直さなければ」と通信制の4年制大学に編入しました。並行して資格試験をいろいろ受けました。勉強して得た知識をベースに、近い分野の資格を次々に取得していった感じです。
節約主婦から「節約アドバイザー」になられたのですね。
和田 はい。私が節約主婦だったころ、やはり消費生活アドバイザーの丸山晴美さんが節約アドバイザーの肩書で取材にいらっしゃったことがありました。その時に「節約アドバイザーって職業にできるんだな」と心に残りました。
Webでたくさん情報発信するようになってから、「節約アドバイザーの肩書で仕事をしたほうがいいかも」と思うようになりました。
そこで丸山さんに「私も節約アドバイザーと名乗っていいですか?」とおたずねしましたら、「資格がいるわけでもありませんし、どうぞどうぞ」と。節約アドバイザー元祖が丸山晴美さん、その次が私だと思います。
節約を情報発信するうえで大切にしていることは?
和田 節約に対して「我慢しなくちゃいけない」「ケチくさい」といったマイナスのイメージをもっている方が多いように思います。サイトを立ち上げた頃は、今のように節約を肯定的にとらえてくれる人は少なく、どちらかというとキワモノ扱いでした。
テレビで紹介される節約例が「トイレは何回かに1回しか流しません」とか「お風呂の水は交換しないで1週間使います」とかだったり。面白おかしく扱われている感じだったんですね。
しかし、よほどの大金持ちは別にして、誰しも使えるお金は有限です。「なんとなくお金を使っていたら、なくなってしまった」というのは、いやですよね。きちんと使いたい。そのために節約するのであって、節約は目的ではなく、手段だと思うんですね。
「お金を有効に使う」という目的があるから、その手段がある。きちんと使うためにムダな部分をそぎ落とす行程こそが節約、と私は思っています。
たとえば、ファストフードやコンビニのお弁当を買ったりして食費が月5万円かかった人と、ふだんの食費をやりくりして3万円きっちりにおさめ、残り2万円で高級なお寿司を食べた人とでは、同じ5万円でも満足感が違います。
後者の人のほうが楽しそうですよね。私は、そうした生き方をすることこそ節約の目的と考えていまして、ひたすらお金を使わないことや、出費を削ることとは考えていないんです。それが伝わるように情報発信をしています。