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資格活用への取組み

QCサークル活動にも取り組み、お客様満足度をアップ

ダイハツ工業株式会社 お客様相談室

購入前の商品比較、購入後のアフターサービスなどへの関心が高い自動車は、消費者から多数の声が寄せられる商品の代表だろう。軽自動車を中心に製造しているダイハツ工業鰍フお客様相談室を訪ね、その体制や仕組み、取組みなどをうかがった。

■お客様対応の体制は

 ダイハツ工業のお客様相談室は、お客様から入った電話に一次応対者が対応し、そこで回答が困難だった案件を「お客様対応グループ」がフォローする体制となっている。問合せ等の傾向や問題点をまとめ、販売会社を含めた関連部署への展開や官公庁への連絡もここで行っている。製品開発や営業活動にフィードバックし、いち早い改善に結びつけようとの位置付けである。

 また同相談室には、お問合せQ&Aの作成や販売会社のサポート・教育支援などを行う「情報・渉外グループ」もあり、お客様対応を支える部署として機能している。

 2011年度の相談受付件数は約106,000件、そのうち問合せが84%、要望が9%、苦情が7%であった。問合せは製品に関するものが大半を占め、とりわけ新製品の発売直後は激増する。これには要員シフトを工夫し対処しているそうである。苦情の主な内容は、品質に関するものが35%、販売・接客に関するものが27%とのこと。

 販売会社は別組織なのだが、お店の名称にダイハツが入っていれば、お客様からは同じダイハツとしての対応が期待される。同社サービス部お客様相談室の武村室長は「そこで昨年から販売会社向けの研修を強化し、店長、工場長、マネージャーに直接実施するようにしました。現場で対応している人にお話ししないと、初期対応が遅くなってしまうからです。実施はまだ一部地区のみですが、この実施地区の販売への苦情が減少傾向にあります」と、改善の成果を語る。なかには実際にお客様の車を調査しなければ回答できない案件も出てくる。これには社内の調査部門や販売会社との連携が必須である。内容によっては販売会社の瑕疵(かし)担保責任やメーカーの製造物責任にかかわる可能性があり、グループの連携が必須である。

■受付時間は自動車メーカーで最長

 お客様相談の大半は、取扱説明書や車両カタログ、ホームページで告知しているフリーコールによって寄せられる。この電話番号は、メンテナンスノート(車の整備記録簿)にも記載されている。

 受付けは平日9時〜 19時、土日祝日が9時〜 17時。365日、年中無休である。

 「この平日19時というのは業界で受付時間が一番長い。仕事をしている方は、17時はまだ勤務時間のことが多いでしょう。仕事が終わった後にも電話ができるようにと昨年からこの時間にしました」(同相談室中井課長)

 年末年始も対応していることから、元日に「お宅の販売会社の建物の地下で水道管が破裂した」という水道局からの電話を受けたこともあるそうである。こうしたとき、お客様相談室は文字どおり、ダイハツへの唯一の窓口となっている。

 お客様からの相談は、電話が約9割、残りは手紙、ホームページからのメールによるものである。

■QCサークルが全国大会銀賞を獲得

 お客様からの質問に対応する基本姿勢は、第一に正確さ、第二により早く回答することである。加えて、可能な限り「なぜその質問をお客様はされるのか?」という背景部分をたずねることにも取り組んでいる。

 たとえば、「車のキーが買えますか?」という問合せがきたとき、「あります。〇〇円です」という回答では不十分なのである。なぜ、キーが必要になったのか。「失くしたのか」、「ドアが開かなくなったのか」、「単に追加されたいのか」をたずね、理由がわかれば「電池交換できます」「何個まで追加できます」などと伝えることができる。

 中井課長は、「そこまでお聞きし、ご提案するには豊富な知識が必要です。でも、そうしたプラスアルファの情報をお客様にお伝えすることが、満足度の向上につながると考えています」。

 同相談室は、本年6月、全日本選抜QCサークル大会(小集団改善活動)の事務・販売・サービス部門で銀賞を受賞した。サークルの名称は「ビリケンスマイルサークル」。通天閣に鎮座する大阪の象徴「ビリケンさん」のような笑顔をお客様に届けられるようにとの思いから命名された。

 お客様相談室は、顔の見えないお客様に対して、「言葉」という形の見えないものを提供する仕事である。当初は漠然とした内容のみが話され活動が沈滞したものの、目標を具体的に設定し、効果を目に見える形で示すことにより、応対品質レベルの「見える化」が図られ、お客様目線が相談室内に浸透していったようである。

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