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資格活用への取組み

■消費生活アドバイザー資格取得の推進

 さて、消費生活アドバイザー資格者数が大幅増となった取り組みに迫りたい。
 実は、お客様サービス推進部が消費生活アドバイザー資格の取得推進にあたるようになったのは2年前からである。それ以前は、契約サービス部門が担当していた。
 同社において、お客様サービス推進部は企画・調査部門に属しており、消費生活アドバイザー資格の位置づけが変更されたことがうかがえる。

 「昨年から、社内のイントラネット掲示板で『専門知識の習得、消費者視点の獲得のために、必要な資格ですよ』ということを知らせ、『取得の支援をします』という案内をしています。以前から社員一人ひとりがお客様本位の業務運営を実践していますが、さらにお客様の視点で考えられるプロフェッショナルを育成するために、この資格の取得を推奨することにしました」と、お客様サービス推進課の酒井元紀調査役は語る。
 その結果、昨年は約100人、今年も90人近くから受験希望の手が挙がった。約6割が営業・マーケティング部門の社員という。
 保険会社の営業部門で資格取得を目指す人が多くいるというのが、同社の際立っているところだ。
 「当社では、経営サイドが『自分でキャリア形成をしていきましょう』と積極的にメッセージを発信していますので、自己啓発に対する社員の意識が高まっているところも影響しているのではないかと思います」(佐藤課長)。

 では昨年、全社を対象にしたプロモーションを行うに至ったのは、どうしてなのだろう。
 「きっかけは、2018年にスタートしたCX向上の活動です。
 CXを向上させるために有効な知識とか資格はないだろうかと模索していたときに、社員のなかから『消費生活アドバイザーの資格をもっていると、消費者目線になれるよ』という意見が出ました。『社員が知識をもってCX向上に貢献する』という目的に合致する資格ですので、全社的に案内することになりました」(佐藤課長)。

 お客様サービス推進部が行った資格取得のサポートは、以下のようなものだった。

  • ・試験対策講座の実施
  • ・第1次・第2次試験の学習の補助となる外部のオンライン講座の提供(希望者対象)
  • ・経済および法律分野について専門家による講義
  • ・販売代理店の育成、従業員の教育等
  • ・休み時間を利用した面談演習(第1次試験の合格者対象)

 2020年はコロナ禍により外部の講師による講義等が難しいなかで、第1次・第2次試験に関する予想問題集の配布や、消費者関連の専門家に委託してオンライン面接演習を実施している。

 さらに、メールマガジンも月1回発行。
 試験範囲のなかで、とくに押さえておくべき項目を決め、消費者関連専門家による出題のポイントや解説のほか、情報収集に必要なインターネット情報を紹介。また、社内の有資格者に合格体験談の寄稿を依頼し、自分が実践した勉強方法をもとにした受験者へのアドバイス等も記載している。
 「知識だけではなくて、モチベーションを高める内容も掲載しています。とくに地方の支社はひとりで孤独に勉強している人も多いので。合格後の業務がイメージできるよう『消費生活アドバイザー資格をこんなことに活用していますよ』と取得後の業務イメージをもっていただいたり、事務局のほうから『体調に気をつけてください』とか、有資格者のメンバーが『私もこんなことで苦労したので、みなさんも負けずにがんばってくださいね』というメッセージを伝えたりしています」(佐藤課長)

 その結果、2020年4月には、契約サービス部門20人、企画・調査部門8人(うちお客様サービス推進部5人)、営業・マーケティング部門8人、その他の部門まとめて5人、合計41名の消費生活アドバイザー資格者が在籍することとなった。
 有資格者はそれぞれの部署で、自身が資格取得の過程で身につけた知識や消費者の視点をもって、個々に活動を行っているとのこと。
 現在、お客様サービス推進部では、「アフラックにおける消費生活アドバイザーのあるべき姿」を定め、資格を有効に活用する仕組みの構築を検討している。業務外では、有資格者を中心とした会社の認定を受けたクラブを立ち上げ、自主勉強会等の活動を行っている。

 資格取得の成果も、気になるところである。
「以前は、消費者関連の問題は、『ふーん』と思うものの実感がもてなかった。資格取得後は、『どうしてこういう現象が発生し、こうした消費者問題が起きているのかを考えられるようになった』と、いう声をよく聞きます。
 自分自身たとえばスーパーに並んでいる商品の表示も、景品表示法の定めがあるとか、身近なところでも消費者保護の認識がもてるようになりました。
 また『お客様に対して、会社の立場と消費生活アドバイザーとしての立場の両方の目をもって考えられるようになった』という声も聞きます。勉強の成果が出ているのかなと思います」(酒井調査役)

 同社は2020年、CX向上の仕組みと体制および人財・風土のさらなる整備を実施、CX向上に向けた土台づくりを中心とした取り組みを実施した。
 2021年は、2020年に整備した仕組みや体制を継続するとともに、それらの強化や新規の取り組み要素を加え、さらに高いレベルのCX推進態勢を達成していく予定である。
 「消費生活アドバイザー資格習得は、消費者を取り巻く問題等の周辺知識が向上し、CX向上に有効であると考えています。引き続き、資格取得の推進を実施していくと同時に、資格取得後のフォローや習得した知識等がCX向上に活用される体制を検討していきます」(酒井調査役)
(取材:2020年12月14日 所属・役職・部門呼称等は、2020年12月時点のものです)

< 終 >


辻田 毅(たけし)さん

辻田 毅(たけし)さん
お客様サービス推進部長

保険金支払や来店型店舗の制度設計および推進、広報、社会貢献等の部署を経て、今年8月より現職。「昨年の全社に向けたプロモーションで消費生活アドバイザー資格を意識するようになりました。力強く推進していきたいですね」

佐藤 圭一さん

佐藤 圭一さん
お客様サービス推進部お客様サービス推進課長

営業・マーケティング部門、契約サービス部門等を経て、昨年7月より現職。異動後すぐに消費生活アドバイザー資格取得にチャレンジする状況となり、第1次試験突破。第2次試験は準備が間に合わず、「今年に持ち越しました」

酒井元紀(もとのり)さん

酒井 元紀(もとのり)さん
お客様サービス推進部お客様サービス推進課調査役(消費生活アドバイザー40期)

営業・マーケティング部門、契約サービス部門等を経て、2017年よりお客様サービス推進部に所属。
「消費者関連団体の方とお話をさせていただくなかで知識不足を痛感し、資格取得の旗振り役も兼ねて受験。合格してほっとしています」



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