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活躍する消費生活アドバイザー

消費生活アドバイザーとして、今後どのような活動をお考えですか。

福ョ 大きな目論見としては、県内の消費者活動の活性化に取り組みたいですね。
 島根は市町村ごとに消費者団体がありますが、メンバーの高齢化や後継者不足、活動内容のマンネリ化など、共通の悩みを抱えています。また、消費者問題を担う全県的な組織やネットワークなど、県消費者行政の良い意味でのカウンターパートとなる存在を欠いている状況です。

 消費者活動って、消費者問題の改善・解決のために、とても重要な役割が果たせるものです。行政のできないことができてしまう。
 たとえば、昨年社会を騒がせたレストランメニュー誤表示問題。
 「実際の内容に比べて著しく優良であると一般消費者を誤認させる表示」として景品表示法に基づく行政処分を受けたのは、ごく一部にとどまりました。
 「ちょっと優良に見える」とか「単に違う」のでは、規制対象になりません。

 しかし、違法でなくても、表示と実際の食材が違うのは消費者として納得いきませんよね。
 消費者なら「それじゃ、ダメでしょ」と企業に対して声を上げ、改善を求めることができます。

 事業者も、いたずらに行政規制が強まるような状況より、消費者の声に耳を傾けて着地点を見つけるほうがいいに決まっています。
 そのためには、事業者や行政に対して消費者の声を適正に主張することのできる、有力な消費者団体の存在が必要なんです。

 実は今、こうした消費者力の向上が、島根のみならず全国の地方消費者行政に共通する最先端のテーマになっています。

 2012年に施行された消費者教育推進法では、消費者市民社会の形成を謳い、都道府県・市町村ごとに消費者教育推進地域協議会を置くことを努力規定としています。
 また、今年の国会で改正法が成立した消費者安全法でも、高齢者等の消費者被害を防止する草の根活動として、これも自治体ごとに消費者安全確保地域協議会を置くことや消費生活協力団体・消費生活協力員を委嘱することが定められました。

 つまり、消費者問題への対応が行政の力だけでなく、広く社会の力を結集して行われるべきものであることが、最近の立法を通じてあらためて意識化されたといえるでしょう。

 幸い、島根県内には、さきほどご紹介した消費生活相談員養成講座の修了生たちが自発的に消費者団体「ACAセミナー自主学習会」を立ち上げ、将来のNPO法人化を目指すなど、明るく力強い動きも芽生えています。
 県内各地のこうした動きを繋ぎ育てることが大切で、行政にもそのための施策を求めたいですし、消費者側のコーディネーター役として貢献することが、私の役割だと考えています。

 また個人的な活動としては、消費者問題の大切さを言葉で広く発信したいですね。十代の頃から小説などを書き散らかしてきた私にとって、コミュニケーションの最大の武器は、言葉ですから。
 いずれは、消費生活センターを舞台にした連作小説を書きたいです。

 島根県消費者センターの公式Twitter「だまされないゾウくん」では、約2年間、上司の理解もあり、自由な言葉で、時に熱く、時にコミカルに、消費者問題を解説することができ、良い読者にも恵まれました。
 今は後輩たちが頑張って情報発信を続けてくれています。

 ところで私は、実家が仏教寺院で、若い頃に僧侶資格を取得しています。いずれは寺を継ぐことになりますが、実はお寺の役割の一番大きな部分は、いわゆる人生相談なんです。
 消費生活アドバイザーとしての見識は、ここでも役立つはずです。(取材:2014年9月22日)

「だまされないゾウくん」

島根県消費者センターのキャラクター「だまされないゾウくん」

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