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活躍する消費生活アドバイザー

颯乃会の活動に取り組まれたきっかけは?

酒井 「一般社団法人成年後見支援センター ヒルフェ(2012年に公益社団法人)」の活動に会員としてかかわったことです。
 ここは、行政書士による社会貢献の一環として、成年後見制度の推進のために2010(平成22)年に設立されました。「ヒルフェ」とはドイツ語で「助け合い」の意味で、成年後見制度の普及・促進や会員への指導管理監督などを行うことを目的としています。
 私はそこに所属し、成年後見人になるための能力を担保する成年後見基礎研修も受講しました。

 成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などによって物事を判断する能力が不十分な方々について、本人の権利を守る援助者を選ぶことで、法律的に支援する制度です。
 大きく分けると、法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。前者の法定後見制度は、判断能力の程度など、本人の事情に応じて「後見」「保佐」「補助」の3種類に分かれています。身寄りがないなどの理由で申立てをする人がいない場合に、市区町村長等が法定後見の開始の審判の申立をすることがあります。

 ヒルフェの会員を成年後見人候補者として区長申立てをしたいという相談が千代田区からあり、たまたま私が担当することになったんですね。
 この仕事を通して、成年後見を法人で行う必要性を強く感じるようになりました。個人として引き受けるのではリスクが大きいと考えたからです。

 リスクの一つは、個人での財産管理です。
 後見人は認知機能が低下した被後見人の方の財産管理を行いますが、1人で行っていたのでは、誰のチェックも受けないことになってしまいます。それは避けなければならないと考えました。もちろん、年1回の報告によるチェックはありますし、財産額によっては、後見監督人や後見信託ということもあります。
 被後見人の状況確認を1人で行うことにも、リスクがあります。
 高齢の方が病院に入院していらっしゃる場合に、月1回の状況確認にうかがう際に、後見人がインフルエンザなどにかかってしまうと、訪問できず、状況が把握できない期間が長くなります。
 また、知的障害のあるお子さんの親ごさんには、自分がいなくなった後について心配されている方も多数いらっしゃいます。法人が後見人になれば、長期にわたって後見してもらえて安心していただける面もあります。

 法人で引き受ければ財産管理も透明化できますし、複数の担当者で引き受けますので、貴重な面会の機会を損なうこともなくなります。
 そこで、志を同じくする行政書士や医師などに声をかけました。
 すぐに賛同してくれて、いっしょに会の立ち上げに奮闘したのが、副理事長の市田進一郎さんです。市田さんは東京都行政書士会の千代田支部長でもありましたし、颯乃会の名付け親でもあります。会の名前が決まらず困っていたときに、「爽やかな風のような会にしたいから」と。明るく老後を迎えられるお手伝いができれば、という意味を込めています。
 会としての成年後見の受任はまだですけれども、これから、お困りの方々のお力になれればと思っています。

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