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活躍する消費生活アドバイザー

ところで、携帯電話やスマートフォン(スマホ)をほとんどの人が利用するようになって、コミュニケーションがどう変わってきているのでしょうか。

宮木 携帯電話が普及してきた時期は、人間関係が希薄になるのではないか、若者のコミュニケーションが下手になるのではないかと盛んに言われました。ふたを開けてみたら、モバイルが発達したことによって、人と会う機会が増え、結果的にコミュニケーションが増えているとされています。

 これは人が変わったのではなく、そういうことを実現できる技術やツールが出現したから、そうなっただけのことだと思っています。30〜40年前にそうしたツールがあったら、きっと当時の人たちも同じことをしているでしょう。

 私は根本的には人間はそう大きく変わっていかないと認識しています。潜在的に人間が思っていることや持っているものが、たまたま、その時代の技術によって表出している。ネットの排他的なところがよく問題視されますが、「ネットが出現する前にも同じことが違う形で行われたはず」と思っています。

モバイルによって、人と会う機会が増えているというのは?

宮木 モバイルが出る前には、たとえば大学に行ったら休講で時間があいた。誰かに会いたいと思っても、連絡手段がないので会えないという状況でした。今は思い立ったらすぐに相手に連絡ができ、人に会うことができます。
 以前は人に会うには、基本的に家で電話をして、翌日以降に会うという感じでしたけれども、もし当時も会える手段があれば会っていたはずです。現在は、それができるようになったというわけです。

 また、友人関係も、以前は小学校、中学校、高校、大学というように、友人は移り変わっていくもので、過去の友人とは年賀状を1年に1回やりとりするくらいになっていっていました。今は友人関係は移り変わるのではなく蓄積され、より密なつながりを保てます。「会おう」という話も具体的に出やすくなりますので、以前より短いスパンで会えるようになっています。

ものごころついた時からデジタル機器が生活のなかにあったデジタルネイティブもいますが。

宮木 デジタルネイティブといわれる若者たちは、情報技術を使いこなし、扱いにたけているように思われがちですが、実際には、彼らは使い方が上手とはいえません。やはり年齢相応の未熟さがあります。
 むしろ、そうした機器がない時代を知っていて、その普及過程を体験してきた人のほうがうまく使っている側面が多々あります。

デジタルディバイドが広がっている気もします。

宮木 今の若者はスマホで何でもするようになっているので、デジタルディバイドの問題は、「パソコンを使うか使わないか」というところが議論されます。
 一方、高齢者の場合は、デジタル機器そのものが「使えるか・使えないか」の点で格差があります。

 デジタル機器の利用が当たり前になりつつあるなか、使えない(使わない)高齢者にどう対応するか、企業なども苦心しているようです。たとえば食品メーカーなどがプレゼントキャンペーンを実施する場合、インターネットからの申込み以外の対応を併せてするようにしている企業もあるようです。

 これからも新技術によるさまざまなツールが出てくることでしょう。それを今の中高年がフォローしていけるかどうか。また新たな格差が出てくると思います。

 格差解消のカギは、ヒューマンインターフェースと機器の標準化でしょう。しかし、新しいものを学んでいく能力は加齢とともにどうしても衰えていきますので、ゼロから新しいものを覚えるのは難しいと思います。そこをどうするかは今後も残る課題です。

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