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活躍する消費生活アドバイザー

かとう けいこさん

この資格を取得していなければ、地域活性化で結果を出せる今の私はいませんでした

かとう けいこ さん(消費生活アドバイザー13期)
株式会社まちづくり観光デザインセンター CEO

リース会社、放送局、経済産業局相談員、新聞社、地域づくり中間支援組織を経て、2011年より現職。北海道営競馬運営委員をはじめ、自治体や団体の委員など多数。
観光地域づくりや情報発信、インバウンド受入れ整備に詳しい。北海道179自治体すべてを訪問(うち175に滞在)。2013年より北海道大学大学院農学院共生基盤学専攻博士課程後期で農村ツーリズムの研究も行っている。北海道足寄(あしょろ)町生まれ。

まず、まちづくり観光デザインセンターでの仕事についてうかがいたいと思います。

かとう 代表をしていまして、いろいろなプロジェクトの企画運営、そして実施、報告書をまとめるといった形の仕事が多いです。
 砂川市の「砂川スイートロードプロジェクト」とか、襟裳岬を起点としたエリアでインバウンドを進める「とんがりロード」、それから「なかとんべつ青年交流事業」などですね。アイヌ文化ツーリズムなどのプロモーション企画もしています。

 たとえば「砂川スイートロードプロジェクト」ですが、砂川市は札幌と旭川を結ぶ幹線道路が通っていまして、どちらからも車で1時間くらいです。この道路を通り過ぎる人たちに、1泊2日で滞在してもらうにはどうしたらよいかということで、プロジェクトリーダーをしています。砂川市にはお菓子屋さんが多く、全国的に有名なアップルパイ屋さんや夕張メロンのゼリーを作っているメーカーもあります。そういうカフェやスイーツをPRする素材を作ったり、スイーツに目がない女性向けの旅行商品を作ったりしています。

砂川スイートロード協議会ポスター

 また、観光客にコンシェルジュとして、「この店のジェラートが美味しいです。あずきが好きならここね」といった滞在プログラムを作ってあげられる、地元の女子スタッフを育てる講座も担当しています。この人材集めは広報誌などのほか、ワークショップに参加している人に「こういうプログラムで、こんな面白い技能が身につくよ」と声かけして、人材発掘しています。講座は、参加しやすいように土曜日や平日の夕方、それと幼稚園に子どもを預けている人のために10〜12時にしているんですよ。働きたい女性予備軍を発掘することにも力を注いでいます。

市役所とタイアップして行っているのですか。

かとう そうです。この事業では、2年前の秋に面識のない市役所の女性課長からいきなり電話がかかってきて、「お願いします。加藤さんと仕事をしたいんです」「じゃあ、やりますか」といった感じで始まりました。

砂川市でのお菓子手作り体験事業

 また講演もよく頼まれまして、基本的に日程がぶつからなければ引き受けるようにしています。
 プロジェクトは、大小含めて年間12本が上限と決めています。引き受ける時のポイントは、「担当者と相性がいいか?」「担当者が本気か?」「その町が本当に困っているか?」そして「それが私にとって新しい分野で、私も学べるか?」の4点です。
 そうして引き受けたプロジェクトですから、どれもうきうきワクワクで取り組んでいます。

 「とんがりロード」の一番奥の自治体は千歳空港から車で4時間ほどかかる、けっこう不便な場所なのですが、携わった3年間で、それまで1人も来ていなかったタイや台湾の若い人や、教育旅行に特化した団体や旅行代理店の方がたくさん訪れるようになりました。
 地域の人たちが来てもらいた国や地域に出かけて行って、「この町がいかに北海道で唯一無二の資源があるか」「ここに来ると、どれだけ元気になって、リフレッシュできるか」などについて、具体的な商品や滞在プログラムを提案し、食材については科学的な根拠を示してプロモーションしたので、どんどん来てくれるようになったのだと思います。

タイに行ってプロモーションされるのですか。

かとう はい。去年も2回行きました。
 ですが、ハッピを着てチラシを配るのではありません。私たちのエリアに興味を示す可能性の高い旅行代理店やメディアの人たちを事前に絞り込み、動画や写真を使い、科学的な根拠も示して、「この町に行ったら、何泊何日でこういうところに行き、ガイド費用含めお金がこれくらいかかります。そして参加者にはこんな満足度があります」と、しっかり説明し、納得してもらうのです。
 こうしたプロモーションは、PDCAサイクルを回す要領で行いますので、失敗はしません。
 というのも、「今はゼロのタイからの観光客を、5年後には年間50人にしましょう」と決めたとします。この時、1,000人などと、地域側で受け入れのできない目標にはしません。「タイの学校の休みは2回あるから、1回の上限は25人に。それだったら、よい宿に泊めてよいアテンドができる。バスも使えるよね」と、現実的な目標を立てています。
 そこから、「この地域は高校がすごく熱心だから、地元のタイの高校生を交流させようか」「それなら教育旅行がいいよね」と。そこで、タイで教育旅行を熱心にやっている新進気鋭のコンサルタントや旅行代理店を必死に探します。タイと台湾在住の信頼できるコーディネ―ターと細かに調整を繰り返します。絶対失敗しないようにプログラムを組み立て、そのシミュレーション通りに動いているのです。

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