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活躍する消費生活アドバイザー

社内の消費者志向経営推進者もされていました。

大西 (公社)消費者関連専門家会議(ACAP)を通じて、消費者庁から依頼を受け各地で消費者志向経営セミナーの講演を行っていたことと、「消費者志向経営の取組促進に関する検討会」のメンバーに大山会長が選ばれたこともあり、私は当初から消費者志向経営にかかわっていました。社内の推進者として、コンプライアンス、ISO 26000、製造物責任法等にもとづいた適切な消費者対応の推進と指導を行っていました。
 今は、消費者庁の消費者志向経営自主宣言事業者のメンバーから外れており、寂しい思いをしています。

2012年には消費者支援功労者表彰(内閣府特命担当大臣賞)を受賞されました。

大西 2011年の東日本大震災の際は、通信回線も不通になり電気も停まったため電話やメールの対応に困りましたが、運よく仙台本社(消費者対応部門は宮城県南の角田市1カ所)は通信回線も電気も通じていたため、人員を派遣し急場をしのぐことができました。お客様から品質不具合での苦情の電話を受けたときにも、最後には「頑張ってください」と応援のメッセージをいただき、企業の社会的役割と責任を痛切に感じました。
 被災者に対しては、行政を通してマスク、使い捨てカイロ、寝具、ブルーシートなどを支援しました。その時の消費者対応の実績とペーパーシュレッダーの事故以降の製品安全の啓発活動が評価され、ACAPより推薦を受け受賞できたものです。
 しかし、私自身は「個人として賞に値する活動をしていないのでは」と思い、受賞の重さをひしひしと感じています。
 その思いは今もあり、活動の原点の1つになっています。

では、消費生活アドバイザー資格について。取得されたきっかけは?

大西 ACAPの自主研究会で、メンバーの多くが「消費生活アドバイザー資格をとるんだ!」と頑張っていたので、資格について調べ、消費者対応に必要な資格と考え「私もとろう!」とチャレンジしました。
 一番の動機は、クレーム対応でお客様宅を訪問したとき、お客様からすれば、私は当然ながら、「企業の人」なんですね。消費生活アドバイザー資格を取得していることによって、お客様に不具合の原因や責任区分を説明するときも、解決策を提案するときも、お客様の信頼を得ることができ、中立的である証(あかし)になると考えたことです。

 消費生活アドバイザーとして発言するときは、やはり「お客様の立場と問題の本質を把握し、中立的で分かりやすく誠意をもって」という気持ちになります。

 勉強では、統計を含む経済分野と論文で苦労しました。最初は、テキストを斜め読みするような感じでしたが、途中から体系づけて勉強するようにして、合格に結びつけることができました。片手間では難しかったと思っています。

現在、NACS東北支部の支部長をされていますね。

大西 はい。2016年から東北支部支部長を務めています。
 資格は54歳のときに取得し、その年にNACSに入会しました。定年後に同じ意志をもったメンバーと活動する場が欲しかったからです。また、ペーパーシュレッダーでの重大事故や数多くの製品事故の対応に携わった経験があり、ライフワークとして製品事故防止のための啓発活動に取り組みたいと考えていたからです。
 NACSに入会した当初は、まだ会社勤めでしたから「どのような活動をするのかな」と後ろで眺めていた感じでした。

 入会後、NACSの東北支部に顔を出しはじめたら、なんと東京でACAPの活動をいっしょにしていた仲間たちがいるんです。定年になって仙台にUターンし、NACSで活動しているというわけです。このようなつながりに縁を感じました。
 ACAPで培ったネットワークは、行政から消費者啓発講座の企画を依頼される際などにも役立っています。こうした面での行政への協力は、NACSの大きな役割と思っています。

 また、東北支部会員にも消費生活センターの相談員の方が多くおられますので、行政との連携を図り信頼を得ることは、そこに勤務されている相談員の方々にとっては存在感が増し、心強いのではと考えています。
 会員の皆さんが活動しやすいよう、環境を整え背中を押してあげるのが支部長の役割であり、自分自身のやりがいにもなっています。

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