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活躍する消費生活アドバイザー

高山 美和さん

お客様の声が聞ける基盤をつくり、モノづくりを支援してきました

高山 美和(みわ)さん(消費生活アドバイザー9期)
パナソニック株式会社 コンシューマーマーケティングジャパン本部 PXドリブンセンター DX企画部 ネクストステージパートナー
相模女子大学 / 中央学院大学 非常勤講師

1987年にパナソニック(株)入社、一貫して消費者と企業のパイプ役を志向し、企画、デザイン、技術のほか、マーケティング、CSと、5つの職能を経験。2024年に定年、延長雇用に入り現在に至る。育児勤務期間中に社会人大学院に通い、2000年に筑波大学大学院経営システム科学専攻 修士課程修了、2020年に同大学院企業科学専攻 博士課程満期取得退学。現在は会社公認の副業で大学の非常勤講師を務める。
趣味は茶道。稽古をきっかけに着物を着るようになり、そこから和裁、さらに和菓子、茶室めぐりと、「和文化」の彩を広げている。

現在のお仕事について、簡単にご説明ください。

高山 パナソニックの会員サービス「CLUB Panasonic(クラブパナソニック)」で行っているネットアンケート調査のコンサルティングやリサーチ研修講師をしています。
 この仕事には、デザイン本部未来創造研究所(現・トランスフォーメーションデザインセンター)に在籍していた2010年から携わっています。ここは、特定の商品を担当するのではなく、パナソニックグループ全体の「実現したい未来」に向けたコンサルティングを行う部門です。
 定年により部門を異動した現在は、これまでのノウハウを伝承中です。

 今でこそ、外からエアコンをオン・オフしたり、冷蔵庫の庫内をスマホで確認したりできるIoT家電が増えましたが、パナソニックでは私が入社した38年前からその企画・研究は行われていました。インターネットの登場でいろいろな家電がつながることを見据え、横断的にくらしを研究するため、さまざまな事業部の商品企画やデザイン部門が参加し、互いの情報を交換してくらしに根ざした商品づくりを目指す生活研究連絡会が立ち上げられ、私は事務局を担当しました。その後、社内の多くの部門の不断の努力により、2012年、「タッチ家電」という名前で世の中に出したのが、スマホを使ったIoT家電のスタートです。単独の商品ではなく、ラインナップで家電を販売したのは、パナソニックが最初ではないでしょうか。

インターネットの登場で、商品企画の考え方も大きく変化したのですね。
お仕事について、すこし詳しく教えてください。

高山 振り返ると、未来創造研究所勤務が長いですが、その前に、相談センターの相談員の経験もしました。相談センターへの電話のお申し出を蓄積し、その結果を取り出しやすくする仕組みも重要な基盤です。当時はインターネット普及前だったので、商品企画部門がお客様の声を活用しやすいフラグを入れる提案をしました。新入社員時の生活研究連絡会での商品企画部門との交流が役に立ちました。
 また、インターネットが普及してから2007年にパナソニックの会員組織であるCLUB Panasonicの構築にも携わったのですが、会員向けアンケートをWebでできるようになりました。それまではハガキでしたので、大きな変化です。このアンケート内容の添削では、商品企画側の「ここが知りたい」という立場も理解しつつ、お客様の立場からみて「質問が多い / 細かすぎ」「専門用語が難しい」などを伝えてきています。
 条件に当てはまるお客様に連絡をして、より詳細なインタビューもできるようになりました。私は既存商品の改善だけではなく、新規商品やサービス企画を目指す部門からの委託を受けて、お客様宅訪問調査やオンラインインタビューなども担当し、その結果を用いながらコンサルティングを行ってきています。

 こうして私が横断のポジションで構築に関わってきた仕組みや基盤をさまざまな部門の方たちが使うことで、大きな効果が期待できます。部門を横断するような仕事をしていると、会社全体のバランス、全体最適に貢献できると考えています。 

社会人大学院に行かれたことも、コンサルティング業務のプラスになりましたか?

高山 はい。それまで消費生活アドバイザーとして消費者の視点から発言するようにしていましたが、「消費者と企業のパイプ」というのであれば、「企業側の様子もわかったうえで発言できるようにならなければ」と考え、大学院進学を決心しました。また経営側の勉強をしておいたほうが、この先長く仕事ができると思い、筑波大学の社会人大学院に進みました。
 この大学院は、職場の課題をテーマとするスタイルでした。当時は相談センター勤務でしたので、「顧客相談室における顧客満足構造」という研究テーマで職場での課題に取り組みました。
 1999年にお客様相談センターから社内コンサルティング部門である未来創造研究所に異動しました。大学院で、混沌としたものにフレームを与えて検証していくロジックがつかめてきていたので、社内転職に手を挙げてみたところ、受け入れてもらえました。

大学院で、立場が違う方たちをまとめていくツールを手にできた…

高山 企業では効果の検証が重要です。どうKPI(重要業績評価指標)を設定すると、ふさわしい効果が得られていると検証できるのか。とりわけ、新規事業や新しいプロジェクトは、数値の説得力が大きいです。結果だけではなくプロセスに分解したKPIを設定することで、顧客満足以外にも「NPS(Net Promoter Score)もありますよ」とか、どういう尺度をもってくるとKPIにつながり、効果を社内に知らせていけるかに取り組みました。
 大学院で学んだことで、そうしたことができるようになったと思います。

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