活躍する消費生活アドバイザー
IT企業への出向経験を活かして消費者法関連の仕事を多く手がけています
嶋村 直登さん(消費生活アドバイザー44期)
森・濱田松本法律事務所 外国法共同事業 カウンセル
2013年に弁護士登録(第二東京弁護士会)、森・濱田松本法律事務所外国法共同事業に所属する。2016〜2018年ソフトバンク株式会社法務統括部に出向。2020年カリフォルニア大学バークレー校ロースクール修了。2020〜2021年Pillsbury Winthrop Shaw Pittman法律事務所(ロサンゼルスオフィス)にて執務。2021年ニューヨーク州弁護士登録、2022年カリフォルニア州弁護士登録。2022〜2024年グーグル合同会社に出向。2022年よりお茶の水女子大学 非常勤講師、2024年より日本女子大学 非常勤講師、現在に至る。
保育士、情報処理安全確保支援士、CIPP/E (Certified Information Privacy Professional/Europe)、CIPP/US (Certified Information Privacy Professional/United States)など資格多数。
著書に『図解ポケット 景品表示法がよくわかる本』(秀和システム、2025)。
現在のお仕事について、簡単にご説明願います。
嶋村 メインの業務は、森・濱田松本法律事務所外国法共同事業の弁護士としての仕事です。当事務所は、企業向けの法律サービスをメインに提供しますので、私の取扱案件の大部分も企業向けです。たとえば、企業間の契約や紛争、オンライン上のトラブルや、新しいビジネスを始めるときのいろいろな法律や規制などへの対応にあたっています。
なかでも、消費者法関連やAI、テクノロジー、個人情報といった分野の仕事が多いですね。具体的には、生成AIの利用規約をどのように作成したらよいか、インパクトのある広告の法律上の注意点は何か。企業から依頼を受けて社内セミナーの講師を務めることもよくあります。最近は、カスタマーハラスメント対策や、消費者庁、金融庁、経済産業省などの行政調査への対応についてアドバイスすることも増えています。
2025年6月に景品表示法の解説書を出版されていますが、弁護士になられたときから消費者法分野に関心をお持ちだったのでしょうか?
嶋村 当初から特に関心があったというよりは、仕事をしていくなかで少しずつ消費者法分野にかかわることが増えていったという感じです。
もともとはインターネットなどのテクノロジーに興味があり、学生時代には自分でホームページやソフトウェアを作ったこともあるのですが、そうした経験からインターネットに関わる仕事をしたいと思い、個人情報やWebサイト広告、フィッシング詐欺などの問題に対応していくうちに、消費者法に詳しくなったというところです。
オンライン犯罪への企業の危機意識は変化していますか?
嶋村 危機意識は高まっています。個人情報を取り扱っている企業ではハッキングやランサムウェアによる個人情報の流出に危機感をもたれています。金融機関では振り込め詐欺が起きないように、不審な送金を事前に停止するための工夫に苦心されています。
SNSを運営する事業者も、掲載されている広告を一つひとつ厳格に審査するわけにはいかないので、どういった形で詐欺を防止したらよいのか、どの企業も頭を悩ませています。
GoogleなどBtoC(消費者向けにサービスを提供している会社)への出向や、米国の法律事務所での勤務など、国際的なご経験も豊富です。日米の消費者問題の違いや共通点などを教えてください。
嶋村 アメリカは「訴訟文化の国」であって、消費者が企業相手の訴訟に勝つと賠償金額が日本と比べて桁違いになる場合も多いため、消費者の権利についてセンシティブになっている企業が多いと思います。これに対し、日本は、企業が消費者保護の法律に違反したとしても大きなペナルティや高額賠償金を命じられるケースは、アメリカと比べて多いとはいえず、真剣に取り組んでもらえない場合もあるように思います。
共通点としては、日米ともに詐欺がはびこっていて、それにどう対応していくかに頭を悩ませている点が挙げられると思います。