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活躍する消費生活アドバイザー

昨年度、消費生活アドバイザー資格を取得されています。

嶋村 弁護士以外の仕事として大学の講師をしているのですが、担当科目の中には、消費生活アドバイザーの試験を意識してカリキュラムを組み立てているものもあります。学生に試験対策を教えていく過程で私も実際に受けてみることにしました。乗りかかった船と言いますか。

消費生活アドバイザーの資格を取得されたことで、本業へのプラスの影響はありましたか?

嶋村 資格をとったことで人脈が広がり、大学の先生や、アドバイザーとのつながりもできました。
 事務所ホームページの自己紹介欄に消費生活アドバイザーと書くことで、クライアントの方から消費者関連に強い弁護士と思っていただけると考えています。

現在、2つの大学で講師をされています。どのような科目を?

嶋村 お茶の水女子大学では「消費者法」と「消費者科学入門」、日本女子大学では「法学入門」と「女性と法律」を担当しています。
 「消費者法」を受講するのは、生活科学部の学生が多いです。生活科学部は、消費者問題も含めていろいろな社会問題を扱う学部なので、もともと関心の高い学生が多いと考え、オンライン関連、特に通信販売トラブルや詐欺広告などを取り上げています。
 たとえば、授業では、私が「新聞社や雑誌社、SNSの運営事業者が、そこに掲載される広告を適切に審査せずに、詐欺広告を掲載してしまって詐欺が発生したとき、誰が責任を負うのか」といった話をしますと、学生からは「メディアやSNSには責任がない。被害者は、詐欺広告を出した会社を訴えればいいのではないか」「どうしてメディアやSNSの責任を議論する必要があるのか」という声が、返ってくることがあります。ところが実際の被害では、詐欺広告を出した会社には実体がなかったり、海外にあったりして、結局責任をとってくれないんですよね。「日本に実体があるメディアにも、広告審査の過程で詐欺広告を見過ごした責任があるという考え方は成り立つのだろうか」と話をすると、「そういう考え方があるのだな」と気付いてもらえます。
 直接悪いことをした人は悪いとして、その人が責任をとってくれない場合に、「ほかに責任を追及できる人がいないか」というところを法律の世界では考えていくことが多いので、企業としても自らのサービスが悪用されないように注意する必要があるわけです。

2つの大学の学生の反応はいかがですか。

嶋村 「知らなかったことを学べて勉強になった」というフィードバックがあり、好評なようです。
 授業の初めに受講理由についてアンケートを取ると、「少しでも社会に出たときに役に立つ知識が欲しいから」と答える学生がいます。私としては、学生自身が悪質商法や詐欺に遭わないようにという視点だけでなく、社会に出て事業者側でマーケティングや営業をする際に、うっかり規制に違反するような広告を出さないためにはどうしたらいいか、「加害者にならないように」という観点でも教えています。

 大手企業でも時折、まぎらわしい広告が消費者法に違反するとして処分される事案があります。たとえば、アピールポイントを強調する一方で、重要な事項を小さい字で注意書きとして載せている企業広告を時折見かけます。しかし、広告を規制する景品表示法の考え方からすると、インパクトのある表現を強調する一方で、重要な例外などを小さい字で注釈をうっておくだけですと、その脚注は必ずしも有効だとみなされずに処分されることがあります。
 そうした処分を受ける大手企業の社員は、本来コンプライアンス意識が高いと思いますが、うっかり法律に違反することが出てきてしまう。「どうしてこの会社は違反してしまったんだろう」と分析をしてもらい、原因や再発防止策についてフィードバックすると、学生にとって有益な知識として学べるのではないでしょうか。

教育の現場で、消費者教育の課題などを感じられることはありますか。

嶋村 私の学生時代を振り返ってみると、体系的な消費者教育というトピックはありませんでしたね。
 マルチ商法などは、その問題点を教える側にも問題があるように思います。「マルチ商法って、うさんくさいビジネスだな」とわかっている学生は100%近いと思うんです。ただ、正体をわかっていない人が多いのかなと。
 消費者法の講義でマルチ商法の問題について取り上げるときは、勧誘する側がなんと言ってくるかを伝えています。当然、勧誘する側も、マルチ商法がうさんくさいビジネスだと思われていることはわかっています。それをわかったうえで、彼らはたとえば「マルチ商法は、うさんくさいビジネスに思われがちですが、いろいろな規制の対象になるものの、それを守りさえすれば、実は合法なサービスなんですよ」と言ってきます。巧みなトーク技法で警戒心が緩み、「ルールを守れば合法なサービスなんだから、世間で言われるほどの問題はないんじゃないか」と思ってしまう学生も一定数いるようです。
 全面禁止をされているわけではないので、ルールを守れば合法なビジネスであり、実際に成功している人も一定数いるということは正しい。でも、大部分の人はうまくいかない。そういうところまで正確に教えていかないと、誤解してしまう人が出てしまうように思います。

ぜひ学生さんたちに消費生活アドバイザー資格を取得していただきたいですね。

嶋村 消費生活アドバイザー試験に役に立つ授業をしていきたいですね。

(取材:2025年12月10日)
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