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資格活用への取組み

■高齢による誤使用への対応

 もう一つ、最近増えていることがある。高齢者からの問合せである。

 たとえば、アルミ袋の冷凍食品をそのまま電子レンジに入れてしまい発火してしまうケースがあった。「外袋から出してから、電子レンジに入れてください」と袋に書いてあるのだが、見てもらえなかったのである。

 また、オリーブオイルを飲用すると健康によいと報道され、それまでオリーブオイルをあまり使用してなかったお客様がスプーン1杯分を一気に飲んでしまったというご相談も。「ピリピリしてからい。とうがらしが入っているんじゃないですか」と、たずねられたという。

 こういったことに対して、お客様センターでは、パッケージを見直し、誤解・誤使用を減らす工夫に取り組んでいる。
 マスメディアの報道などによって、問合せ内容は日々変わる。対応Q&Aを作成するほか、机を接するスタッフが、互いの電話応対を参考にし、情報共有を図っている。
 文字通り、円陣を組んでお客様対応にあたっているようである。

 同社のホームページから、お客様センターの雰囲気を感じ取ることができる。イラスト付きで掲載されている「スタッフだより」にアクセスしてみよう。

「スタッフだより」

「スタッフだより」のイラストは、ご本人にそっくりです!
http://www.nippn.co.jp/customer/center/index.html

 「身近にお客様センターを感じてほしいという目的で始めました。『電話をかけるかどうか迷った』『疑われるんじゃないかと思って怖かった』とおっしゃるお客様が多いので、顔が見える形で伝えたいと思ったのがきっかけです」。(穂坂マネジャー)

■お客様センター発の改善例

 また同社のホームページでは、お客様の相談が商品の改善に結びついた多数の例を見ることができる。

 たとえば次のようなものがある。

●野菜たっぷり「オーマイプレミアム 彩々野菜」シリーズ発売
 「冷凍スパゲッティは美味しいけど、もっと具材が多いといいな」、「普段の食事は、野菜が不足気味……」といったお客様の電話から、野菜がたっぷり入った「彩々シリーズ」が商品化された。

●冷凍パスタの「らくあけトレー」をより安全で使いやすく改良
 トレー入りの冷凍スパゲッティは、発売当初、トレー全体をラップで包んだ形状だったため、レンジ加熱後、「ラップを外すのが、熱くて大変。なにかいい方法は?」という問合せをいただいた。そこで、フタシールに変更し、開封時に熱くなく、しかもトレーの持ち手も熱くないように改良した。

お客様の声からの改善事例

お客様の声からの改善事例「らくあけトレー」
http://www.nippn.co.jp/customer/kaizen/detail/1198256_2381.html

 改善には、お客様からの相談を受けてすぐに行うものと、CS検討会の場で検討するものと、二つの方法がある。

 CS検討会は、お客様センターが主催し、開発部門、品質保証部門、技術部門、業務部門、そして工場からのスタッフが集まり、毎月開催している。
 ここでは、互いに「いま、こういうことで困っている」といった情報交換をするとともに、改善要求を検討する。

 とりわけ多く取り上げられるのが、パッケージの表示である。
 開発部門では、店頭においたときに目を引くデザインやキャッチコピーを選択しがちだが、それを購入したお客様の厳しい意見に接しているお客様センターは、チェックを緩めることはできない。

 お客様センターは、具材の量を増やした写真を使用しない、写真の拡大率を制限するといった、同社独自の表示ルールを作成し、チェックにあたっているという。

 商品パッケージの変更は、開発部門と連携して行われる。
 開発部門の主催するコピー会議にお客様センターから3人が出席。ここでは、商品名からキャッチコピーまでのチェックが行われる。
 「ここでも、チェックマンとして、お客様センターはかなり発言します。商品説明はよく書かれていますが、その言葉の裏付けとなる根拠をはっきり示してください、と」。(穂坂マネジャー)

 「当社商品を扱うスーパーなどのバイヤーは、キャッチコピーと写真を見て購入を決めるので、営業部門も開発部門も、できるだけよく書きたいわけです。お客様がどういう気持ちになるかまでは考えません。販売した後のことを考えて提案するのが、お客様センターの仕事だと思っています」。(鈴木センター長)

 ちなみに、コピー会議に出席するお客様センターのスタッフは、全員が消費生活アドバイザーとのこと。

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