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活躍する消費生活アドバイザー

研修のテーマは、どのようなものが多いですか。

村井 昨年からは、終末期医療(ACP:Advance Care Planning)にフォーカスしています。ACPは、終末期の医療やケアについて患者さんや家族、医師などが事前に繰り返し話し合う取組みです。
 先日も、生命保険会社の社員研修で、「ACPの考え方」についてお話しました。「生命保険の営業マンが患者に寄り添い、看取りまで提案していただきたい」といった内容です。

 私が単独で講演する場合のテーマは、医療制度や患者さんが医療を受けるにあたっての心構えが多いですが、テーマは毎年変わっています。昨年からは「健康リテラシーを高めるためには…」といったテーマが多くなりました。日本の健康リテラシーは世界最低レベルなんですよ。たとえば、世界各国と比較して睡眠時間が短く、就寝前にスマホや携帯電話、ゲームを使用している人の割合も高いです。
 昨年、日本医師会や文部科学省などが後援する「健康マスター・普及認定講師」の民間資格も取得しました。

ホームページの「医療と患者の架け橋」という言葉は、消費生活アドバイザーのキャッチフレーズを参考に?

村井 結果的にそうなりました。設立時にNPOのビジョンについてほかのメンバーと話し合い、この言葉に落ち着きました。「医療」と「患者」は対峙する言葉ではないですけれども、「医療問題と患者」「医療施設と患者」など、すべてテーマになり得るからです。
 消費生活アドバイザー資格試験に合格した2006年頃から「医療と患者の架け橋」のような役割をする団体・組織があったほうがいいのではないかと感じていました。また親戚にドクターが多く、仕事を身近に見ていて、ずっと医療機関は重要な社会インフラと思っていました。

理事長としての活動はどのようなことですか。工夫されていることなどは?

村井 いろいろなコミュニティにうかがい、「このような活動をしているNPOです。ご賛同いただける方は、お話しましょう」と、会員を増やすための活動がいちばん大きなところです。
 看護師や薬剤師など、医療の有資格者のNPOはたくさんあり、それぞれの規制や法律の中で奮闘しています。ところが現在、既存の法律が想定していないグレーゾーンで活動したいことが出てきています。たとえば訪問看護ステーションの立ち上げや運営などは、医療関係の知識だけでは、対応できません。「そこをつなぐ活動をいっしょにしませんか」とお声かけしています。

 気をつけているのは、NPOは利益追求団体ではなく社会貢献団体です。メンバーにはそれぞれに本業があることです。ここでの活動は副業になりますので、進行がなかなかスピードアップしません。1人で突っ走ると、仲間がついてこなくなってしまうので、じれったいながらもメンバーの総意を得て進めています。

コロナ禍中は、特に困難な面があったのでは?

村井 私たちのNPOの強みの一つが、リアルでのワークショップです。医療従事者と患者さんなどの消費者が顔を合わせるだけでは問題が掘り下げられないので、対話をお手伝いするファシリテーターを入れていました。始まりが病院を会場とするセミナー・勉強会だったので、ファシリテーター的な能力をもった人間が自然に集まっていました。
 30名ぐらいを4つのグループに分けた場合は、グループに1人ずつファシリテーターが入ります。評判がよかったのですが、コロナ禍で対面イベントが一切できなくなり、しばらくは「我々は何すんねん」という感じでした。
 ここ1〜2年は、講師によるオンラインビデオセミナーを実施しています。

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