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特集記事

(2)消費者教育推進法と消費者市民社会の形成

消費者教育推進法の目的と、消費者教育および消費者市民社会の定義は次のようになっています。

消費者教育推進法の目的と、消費者教育および消費者市民社会の定義

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消費者教育については、「消費者の自立を支援するために行われる……」と定義されています。「消費者の自立」は、従前からの目標です。
 ただし、この条文にはかっこ付きで「消費者が主体的に消費者市民社会の形成に参画することの重要性について理解及び関心を深めるための教育を含む」と、書かれています。
 また消費者市民社会については、「多様性を互いに尊重して、自分の行動が現在および将来の世代にわたって、海外も含めて社会・環境に影響を与えるということを自覚して、消費者が社会情勢に積極的に参画する社会」であると定義されました。

ということは、「消費者は自立し、自分で自分を守る。しかし、それだけではなくて、社会問題や周りの人々、環境問題などを改善していくことにも、参画する。それはたいへん重要なことであると、消費者にしっかり理解させるような教育を含めて、消費者教育という」ということが定義されたわけです。

(3)消費者教育の体系イメージマップと消費者市民社会の構築のための3つの領域

消費者市民社会をわかりやすく説明したものとして、消費者教育の体系イメージマップがあります。

消費者教育の体系イメージマップ

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消費者教育というのは、ともすると対処療法的になります。
 たとえば、悪質商法がありました。こういう対応力を育みましょう。食品添加物の問題が起こりました。こういう知識を身に付けましょう、となってしまう。迅速に対応する必要から、その時々の問題への対処法を指導していくわけです。
 そのため、消費者教育全体として何を教えたらいいのか、イメージマップが出るまではオーソライズされたものがありませんでした。

このマップは、消費者教育を総合的・体系的に推進するにあたって教える内容を領域別に整理して、幼児期から高齢期までライフステージごとにまとめています。各マスには、たとえば「幼児期に『消費者がもつ影響力の理解』を深めるためには、こういうことができるようになるとよい」といった目標が入っています。
 インターネットで「消費者教育の体系イメージマップ」と検索していただくと、消費者庁のホームページから取り出せます。消費者に身に付けるべき能力に関して、たとえばメーカーの方々には「商品等の安全」、金融関係企業の方々には「生活の管理と契約」などを、ぜひご覧いただきたいと思います。

そして、イメージマップの重点領域の一番上が「消費者市民社会の構築」で、そこには「消費者がもつ影響力の理解」「持続可能な消費の実践」「消費者の参画・協働」と3つの項目があります。
 つまり、消費者市民社会で身に付けさせる能力は、「消費者自身が自分の買い物がどのように市場に影響していくのかということ」や、「自分のライフスタイルが環境にどう影響するのかということ」、そして「近隣の人々といっしょにこの町を安全な町にしようということ」であることがわかります。消費者市民社会の構築のための具体的なイメージが提示されているわけです。

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